
大倉順憲さんの日記
-
2021
1月
16
-
クリント・イーストウッド監督 「パーフェクト・ワールド」(DVD)を観て。
見落としてた作品。やや猫背のイーストウッドの背中には、頑固で骨のある男のすべてが詰まっている。パーフェクトな脚本と演出。「親父の住むアラスカからの絵葉書」と「交換条の件がハロウイン」には泣かされた。いや、外さないなあイーストウッド。「硫黄島」と「星条旗」は別物だけど。
-
2020
12月
15
-
井筒和幸監督 「無頼」(新宿ケイズシネマ)を観て。
これはまさに今の「仁義なき戦い」だ。公開前、内容についてあまりアナウンスされてなかった理由がわかった。もろG組のことじゃないか。現代ヤクザの死に際を演じた中村達也が良い。メインの役者より、脇の役者達が生き生きと演じている。これも「仁義なき」と同じだ。井筒監督のオマージュなのだろう。深作監督の「北陸代理戦争」や小林旭の台詞まで出しちゃってるし。G組長の誕生会シーンなんて、いいのか!?大丈夫なのかマイ...
-
2020
12月
04
-
山田邦子還暦記念公演 紀伊國屋書店提携公演「 山田邦子の門2020~クニリンピック~」(新宿紀伊國屋ホール)を観て。
12月3日(木)13時半。5月公演予定の作品を延期し、満を持しての本公演。前回のサザンシアター公演の続編。小ネタ満載のストーリー展開の中に、弱小プロレス団体が持つ〝見世物”としての猥雑さや〝興行を打つ”という悲哀に満ちていて見ごたえあり。まだ新しいサザンシアターより、かつては小劇場の殿堂と言われた紀伊国屋ホールの好々爺のような佇まいの方が、見世物小屋としての空気を醸し出し、ソーシャルディスタンスで...
-
2020
12月
03
-
篠原哲雄監督 「起終点駅 ターミナル」(DVD)を観て。
ん~。わからん。物語の起点となる尾野真千子が飛び込み自殺した原因は?本田翼の両親と姪が同じ日に死んだ理由は?(一家心中なのか?)佐藤浩市が酒を断っている…ようだけど、泉谷しげるとは一杯呑んだのか?中村獅童が何故そんなにまで佐藤浩市に顧問を頼むのか?(過去に世話になったというのはわかるが)。原作を読めばわかるのであろう。尺の都合でカットになった、もしくは“推して知るべし”ということか。多くを語らない...
-
2020
11月
27
-
東京タンバリンわのわ公演 「さとうは甘い」(東京国立博物館 九条館)を観て。
11月25日13時。作・演出:高井浩子。柳家喬太郎師の肩に力の入らない、いや無力感というべきだろうか。他の演技者と比べて等身大の存在感が圧倒的。別格。他の方々も、それぞれ良いのだけれど、ズルいほど目を惹きつける喬太郎師。なんだか役柄に、スーッと入ってるように見える。それだけに胡散臭ささインチキ臭さまで感じてしまったぞ。まあ、実際そういう人なんだろうけど。落語家という本芸からの余芸だからなんスかねえ...
-
2020
11月
26
-
波多野貴文監督 「サイレント・トーキョー」(東映本社試写)を観て。
<ネタバレ注意!>爆弾を仕掛ける話となれば「太陽を盗んだ男」を想起してしまう映画世代の俺には、“仁義なき”菅原文太VS〝TOKIO”を背負ったジュリーという異色の構図にゾクゾクして、いまだに年に1度は観たくなってしまうけど、この佐藤浩市VS西島秀俊は如何なものか。と、小うるさい映画好き親父の視点で観てしまった試写会。佐藤浩市さんの眉間に刻まれたシワ。西島秀俊の深い豊齢線。これだけで物語...
-
2020
11月
25
-
クリント・イーストウッド監督 「アメリカンスナイパー」(DVD)を観て。
見落としていた作品。反戦のメッセージは伝わってくる。実話だし。ブラッドリー・クーパーの演技、兵士役の為に作り上げた肉体も素晴らしい。娯楽作品だけではない、イーストウッド御大の映画も良い。しかし、ラストに狙撃者が暗殺されてしまうという結末(実際に起きたとの事)で無ければ、どう決着がついたのだろうか。戦争礼讃プロパガンダになってしまわなかったのか。それは物語が進むにつれてアメリカ側を応援してしまってい...
-
2020
11月
02
-
山田洋次監督 「小さいおうち」(DVD)を観て。
見逃し作品。原作は読んでないけど、昭和のメロドラマのような話を、山田マジックで見事に昇華させてる。昭和初期の歴史的価値観の違いをシニカルにとらえてるとこが良いなあ。黒木華と松たか子の対比的な演技が絶品。こういう顔つきの女優が良いンだろうなあ。これからは。室井滋の芝居は、どうも毛色が違って嫌だな、俺は。キャストは、もう山田洋次劇団だよ。こういうところも安心して観られるんだろうなあ。
-
2020
10月
28
-
ナンシー・マイヤーズ監督 「マイ・インターン」(DVD)を観て。
見落としていた1本。俺は、デ・ニーロが好きだ。「ミーン・ストリート」「レイジング・ブル」「タクシー・ドライバー」「ディア・ハンター」「ゴッド・ファーザー」…何回観てもたまらんぜ。いつぞや、映画学校に通う近頃の若いモンと呑んだとき、デ・ニーロを知らない、観た事が無いという輩がいた。それもひとりやふたりじゃない。ああ。話にならん。そばにいた講師に説教してやったぞ。バカヤローめ。アニメがなんだ。俺は役者...
-
2020
10月
27
-
劇団NLTプロデュース 「ボノボたち」(両国シアターX)を観て。
10月24日(土)19時。劇団NLT.まだあったンだ(失礼)。30年程前に、阿知波悟美さんの舞台を観た覚えがある。芝居はとても面白かったンだけど、カーテンコールで当時の演出家が、タカラヅカのトップスターのような出で立ちと所作で出てきて閉口したのを思い出した。それ以来「演出家は出てきちゃいけないな」と心に留めている。そうだ第三舞台を観たときもだ。演出家がボクサーの勝利者かの如く、出てきやがった。まあ...
-
2020
9月
23
-
大塚信一監督 「横須賀綺譚」(下高井戸シネマ)を観て。
監督が5年間アルバイトをしながら製作したという、浪花節好きの俺にはたまらないガッツあふれる初監督作品。ピンク映画等で活躍していたふてぶてしいツラガマエ俳優川瀨陽太の落涙シーンが◎。しかし、初監督作品だけに思いがこもって台詞が切れなかったのか、語るに多いシーンもあったが。長台詞の間にショットで埋めても良かったのではないか。後半のブラックアウトには、まんまと映写事故かとハメられたけど・・・ラストが夢オ...
-
2020
9月
22
-
作・演出 福島三郎 「銀色のライセンス」(中野テアトルBONBON)を観て。
9月19日(土)18時。高齢者の事故。昨年、池袋で2人の親子を殺した元通産省の役人飯塚幸三が逮捕もされず、世間からバッシングを受けているという事件は記憶に新しい。もちろん事故を起こした当人は、過去の肩書など関係なく厳正に処分されるべきだ。では、これからの高齢化社会、免許制度はどうすればいいのだ。返納か。再講習か。再試験なのか。そんな身に迫った問題を、わかりやすく、いいところを突いてくれた秀作だった...
中島貞夫監督 「狂った野獣」(VHS)を観て。
傑作。年に1度は観る。ちょうど人気が出てきた頃の川谷拓三さん。名演。ラストのヘリコプターにつかまって逃亡しようとする片桐竜次さん。バスを横転させたり、走るバイクからバスに飛び乗るシーンもスタント無しの渡瀬恒彦さん。お見事。熱気を感じるなあ。川谷さんが来ているM-65のジャケット。これが公開されたのが「タクシードライバー」前だから、トラヴィスの影響で着たモノじゃないのか。試写で先に観ていたのか。ご子...
ハーバート・ロス監督 「グッバイ・ガール」(DVD)を観て。
最初に観たのは30年程前だったか。まだ俳優としての華々しい未来を無理矢理信じていた頃だった。「アメリカン・グラフィティ」で確かな足跡を残した、あのリチャード・ドレイファスが売れない役者を演じてるのだ。感情移入しないわけがなかった。「ああ、ドレイファスのように、俺にもチャンスがやってくるかも」と、ああ勘違い。そしてフェイド・アウト。今、観てみると、ふだんの生活まで芝居の台詞調になってしまっているのが...
-
2020
9月
21
-
大森立嗣監督 「日日是好日」(TX)を観て。
冒頭のナレーションに、フェリーニの「道」の話が出てくるのは、映画ファンとして嬉しい。(原作に出てくるかどうかは分からないが)。これを、茶道という道とつなげたかったのか。ちょいと奥深過ぎて、飲みこめなかった。大森監督は、観客への答えを提示しない作品が多いけど、こちらとソリが合わない場合は、曖昧で凡庸な味しかしなくて消化不良になる。樹木希林さんが出てくると非の打ちどころがないのだけど。台詞が無いシーン...
-
2020
9月
11
-
大森立嗣監督 「MOTHER」(EJアニメシアター新宿)を観て。
長澤まさみが素晴らしい。こんな難しい役どころを、未婚の彼女はどうやって構築したのだろうか。最近のドラマなんかで、メリハリの効いたコミカルな役を演じてるのを観ても感心していたのだが。小劇場出身の演出家による舞台経験で培ったモノもあると思うが、この女優は凄い。どこか末恐ろしいぐらいだ。ホームレスの姿でトボトボ歩く後姿を見事に体現している。大森監督も、個人的に言えば当たり外れがあるのだけど、これは出色の...
-
2020
9月
06
-
冨永昌敬監督 「素敵なダイナマイトスキャンダル」(DVD)を観て。
伝説の編集者末井昭さんの自伝を映画化。見落としていた作品。主役の柄本佑君が、数多の脇役紹介の狂言回しになっている…と感じた。”おっちゃん”役の島本慶さん、よかったなあ。切なくて、男の哀愁があって。”アラーキー”役の菊地成孔。これも胡散臭い空気感ガッツリ出して◎。俺も30代の頃、2年程エロ本のライターで喰ってたんで、同類相憐れみ、懐かしむ。(1文字2円50銭だったから、”銀玉ライター”と呼んで自嘲し...
-
2020
9月
05
-
アレックス・コックス監督 「シド・アンド・ナンシー」(DVD)を観て。
もう32年前になるのか。シネマライズ渋谷で観たんだっけ。忘れたぞチクショウ。ゲイリー・オールドマン、これとか「JFK」ン時が一番良かったンじゃないかな。「レオン」の頃は、ちょっと変人奇人俳優のレッテルを張られ過ぎていた感がある。日本で言えば、田口トモロヲさんなんかは、年齢とともにオッサン化していったから良かったけどさ。あ、「プロジェクトX」ナレの影響があるか。ま、そんなこたあどうでもいいや。 2...
シム・ソンボ監督 「海にかかる霧」(DVD)を観て。
ポン・ジュノ製作。えげつない。えげつな過ぎる。どうして韓国映画っつーのはこんなにも露骨に人間の業を描けるのだろうか。性欲、食欲、金、権力、嫉妬、差別。ここまでさらけ出してくれると清々しくも感じた。ラストシーンに出てくる子持ちの女性は救いの女神なのか。「シド・アンド・ナンシー」のラストを思い出した。そうだ。久しぶりに観てみようっと。
-
2020
9月
02
-
ジョージ・ミラー監督 「マッドマックス」(NTV)を観て。
高校2年の時かあ。大阪ミナミの映画館で観たなあ。当時、俺もバイクに乗ってたから豪快なハシリが衝撃的だったけど、改めて観ると、かなりの低予算で踏ん張っているぞこの映画。なんだこのチラシ。チャチ過ぎるじゃねえか。いまどき短編映画でもこんなの作らねえぞ。この翌年に「狂い咲きサンダーロード」が公開されているから、少しは影響されたところがあったのではないか。妻子を襲われ、それまではけっこう大人しかったマック...
- 1-20/703
- ≪
- ..
- ≫
