大倉順憲さんの日記
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2021
12月
23
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矢沢永吉 CONCERT TOUR 2021「I'm back!! ~ROCKは止まらない~」(日本武道館)を観て。
12月21日(火)1階南スタンドA列13番。 来年でデビュー50周年の永ちゃん。72才。彫り刻まれたシワだらけの笑顔で、絞り込んだ肉体を最大に駆使して動き回る姿には、男の哀愁を感じる。ミック・ジャガーのスタイリッシュなステージングとは対極的だ。ロッド・スチュアートを真似たマイク・アクションの際、生じる「ゴツン!」というマイク・ノイズも、今迄観た中で、最も大きなボリウムに思えた。それは気合いの入...
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2021
12月
20
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劇団KⅢ公演「黎明記」(日暮里d倉庫)を観て。
12月19日(日)15時。千秋楽。 劇中に出てくる金髪女性「ハル」と「ナツ」は、村上龍の「コインロッカーベイビーズ」に出てくる「キク」と「ハシ」、もしくは黒澤明の名作「隠し砦の三悪人」で千秋実と藤原鎌足が演じた役がモチーフとなっているのだろうか。時代劇の扮装で剣戟エンタテイメントを謳っているようだが、近未来の日本における紛争を描かれているようにも思わせる意欲作だった。 しかし、小劇場の空間...
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2021
12月
18
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作:唐十郎「泥人形」(渋谷シアター・コクーン)を観て。
12月16日(木)18時30分開演。B列7番。 40年程前に、大阪の神社で観た状況劇場のテント芝居は、衝撃的だった。観客席はすべて桟敷で、すし詰めなのに、誰も不平を言うものもおらず、むしろその雰囲気を楽しんで体験したように思う。まだ李麗仙さんが堂々とメインを張り、佐野史郎さんが池の中で船を動かすだけの道具係(?)だった。ラストのホリゾントが落ちたときの感動は、今でも忘れられない。 風間...
劇団 扉座40周年記念公演 「ホテルカリフォルニア -私戯曲 県立厚木高校物語-」(新宿紀伊國屋ホール)を観て。
40年間劇団をやり続けるのって、並大抵の事では無かったろう。その想いがノスタルジー、かつシニカルに描かれている。またしても劇団力の底力を魅せつけられた。 六角精児のダンスに切なくなるほどの哀愁を感じる。有馬自由クンがメインの役どころを、狂言回しかの如く演じ切り、際立って良かった。ラストの台詞「唄ってくれよ」にはシビれたぞ。
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2021
12月
13
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ジャン=リュック・ゴダール監督「ワン・プラス・ワン」(新宿ピカデリー)を観て。
土曜日の昼下がり。「チャーリー・ワッツ追悼」のコピーを見てしまうと、ストーンズマニアなら線香の1本でもあげに行かねばならない。いざ新宿へ。すると意外にもロビーに若い女性がたむろしている。あ、「嵐」の映画が掛ってるからか。いい年こいて、何が「嵐ぃ~嵐ぃ~おぅいえぃ~」だ。ビートルズは、20代中盤で、ロックの金字塔「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を作ってるンだぞ。このスト...
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2021
12月
10
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園子温監督「「エッシャー通りの赤いポスト」(六本木アスミック・エース試写室)を観て。
「俺」印の旗をはためかせ疾走する園子温を、かつて中野にあった武蔵野ホールで観たのは、今から30年程前だ。確か「自転車吐息」と「俺は園子温だ!」の併映だったと思う。上映後、黒のトンビを羽織り、サングラスにシルクハット姿で出口付近に佇んだ挙動不審の園子温は、「ありがとうございました」と聞き取れないほど小さな声で呟いていた。エロスと暴力を執拗に描き、まるで犯罪を肯定化するような過去の作品群は、監督自身...
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2021
12月
05
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宮岡太郎監督「成れの果て」(新宿シネマカリテ)を観て。
日曜日の昼下がり。新宿で買い物のついでに、ふと観に寄った。劇団で掛けた芝居を映画化したというコピーに興味がわいたからだ。出演者全員、誰も知らないけど、皆テンション高く魅力的だ。でも、緊張感の連続は、今の俺の年齢にはちょいとつらい。もうちょっと遊びのあるシーンが観たかった。よく作ったとは思うけど(ロー・バジョッドなのは察するが)。劇的な演出、たっぷり過ぎる感情の起伏シーン、閉ざされた空間だけのカッ...
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2021
12月
04
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纐纈あや監督「ある精肉店のはなし」(ポレポレ東中野)を観て。
住宅街の中、肉牛を屠場まで引いていき、割る(殺す)という冒頭から最後まで、片時も目が離せないほど説得力あるシーンの連続。牛、肉、皮、血、そして血族、土着民…生きとし生けるものの生と死。部落差別へのメッセージ性も、刺激的になり過ぎずにひしひしと伝わってくる。後半に訪れる屠場最後の解体シーンが、冒頭に感じたグロテスクなものよりも、なんだか愛おしく思えてきた。上原善弘の「路地の子」を読んだ後だったので...
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2021
12月
01
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ジャスティン・リン監督「ワイルド・スピード/ジェットブレイク・ディレクターズ・カット・ヴァージョン」(試写・ユナイテッドシネマ豊洲)を観て。
ひと昔前の映画「スピード」で、デニス・ホッパーがキアヌ・リーブスを追っかけて地下鉄の上から出てきたとき、「そんなわけないやろ」と心の中でひとりツッコミを入れたのを思い出したが。いやいや、この映画はそんなどころではない。登場人物全員不死身のターミネーターだ。つっこむ余裕などみせないカット割りとテンポ。アクションだけではなく、親兄弟の愛憎、契りなんぞも入っていて、監督は新国劇のファンなのかとも想像さ...
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2021
11月
25
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五所平之助監督「100万人の娘たち」(京橋:国立映画アーカイブ)を観て。
宮崎交通1社のバックアップだったのか。今なら企業VPになりそうな映画。荒唐無稽なストーリーの展開や、あっけない幕切れも、岩下志麻の恥じらいを秘めた若さと美しさで、すべて帳消しになった。映画は美人女優に限る・・・などと言ったら今時はセクハラなのか。
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2021
10月
30
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キャリー・ジョージ・フクナガ監督「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」(新宿TOHO)を観て。
20数年前、吉祥寺にあった丹波哲郎邸に番組制作の為、1年間程通った事があった。武家屋敷のような門を入ると、保護樹林がそびえ立ち、外車が悠々と数台駐車出来るスペースがあり、屋上に上がると、何故か広々としたヘリポートが存在した。個人宅にだ。丹波さん曰く「007で、ショーン君と共演して帰ってきたら、この家が出来てたンだよ。ボンドがヘリで来るかも知れないからね。ワハハ…」と、あの、なんとも胡散臭い低音響...
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2021
10月
25
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The Road to 2027 仲道郁代 ピアノ・リサイタル 幻想曲の模様 ─心のかけらの万華鏡 ─(東京文化会館 小ホール)を観て。
アンコール2曲もあったなあ。「べーゼンドルファー280VC」とかいうピアノの音を聴く。なんだか幸せな気分になる。なのに、帰りにアメ横をうろつく俺はとても下世話な男だ。と再認識。 <プログラム> ブラームス:2つのラプソディ 第1番 ロ短調 Op.79-1 シューマン:クライスレリアーナ Op.16 ショパン:幻想曲 ヘ短調 Op.49 スクリャービン:「12のエチュード Op.8...
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2021
10月
17
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サム・ペキンパー監督「ワイルドバンチ」(DVD)を観て。
迷った時には、ワイルドバンチ。何回観ても惚れ惚れするシーンの数々。アクション映画の金字塔。「サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド」だ。(ビートルズは関係無いけど)。 どれだけの日数を掛けて、あんな荒野で撮影したのだろうか。キャストとスタッフの心意気と情熱があったのだろう。疲れるぞ。凄く。 観るたびに、アーネスト・ボーグナインが曽根晴美、マパッチ将軍役のエミリオ・フェ...
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2021
10月
15
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森崎東監督「喜劇 女は男のふるさとヨ」(神保町シアター)を観て。
映画館が、どよめく程の笑い声に包まれたのを経験したのは、いつぶりだろう。浅草六区にあった名画座で「男はつらいよ」シリーズ、「無責任男」シリーズを、観た以来ではないだろうか。 森繁久彌がタイトルロール筆頭、主演扱いになってはいるが、余裕の脇に回った芸達者ぶりを見せていた。「駅前シリーズ」「社長シリーズ」という大衆向けの喜劇を当て、「夫婦善哉」で文芸路線に乗り、「屋根の上のヴァイオリン弾き」...
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2021
10月
10
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瀬々敬久監督「護られなかった者たちへ」(渋谷TOHO)を観て。
東京五輪女子ボクシングの決勝戦。入江聖奈は笑顔でジャブをカメラ目線で打ちながら入場し、金メダルを獲得。エンゼルスの大谷翔平は、死球を受けようが敬遠されようが、笑顔で対応。白く灰になった矢吹丈や、目の玉が燃えている星飛雄馬は、もう流行らないのだろう。 「笑顔」か。笑っていれば本当に良いのだろうか。 倍賞美津子さん演じる老婆(見事だった!)は「いつも笑顔で」を繰り返していたが、口角を上...
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2021
10月
09
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ルネ・クレマン監督「太陽がいっぱい」(DVD)を観て。
久々に観ると、<名作>というよりも、<世紀の美男俳優アラン・ドロン>の売り出し大作戦映画、と感じた(当時、1960年の映画産業事情は知らないが)。「死刑台のエレベーター」で売り出したモーリス・ロネの、ふてぶてしい演技が良いから、ポーカーフェイス、いや、仏頂面のアラン・ドロンが映えたのでは?もちろん、ドロンの容姿端麗は文句のつけようが無いが。「美女だけど演技は勉強中です」なんて女優が「謎の女」とい...
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2021
10月
06
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ジャン・ルノワール監督「大いなる幻影」(DVD)を観て。
ワクチン未接種者、ノーマスクの人は蔑視され、協力金をもらう飲食業者が妬まれている(と感じる)昨今。復帰した感染者~芸能人はそれをネタに出来るけど、下々の民は、職場で家庭で、平和に受け入れられているのだろうか。おまけにスマホを持たないと生活が不便になるらしい(自分は現在所持してないが、何も不便ではない。)持ってないと少し異端視されているように感じる。バカか。そんなもん持ってなくても、ある程度の情報...
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2021
10月
02
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吉田恵輔監督「空白」(新宿ピカデリー)を観て。
29年前の夏、『人を殺した』と思った。 障害者の山の会にリーダーとして参加し、(確か)十数人の子ども達と三頭山へ登り、ふと目を離した隙に、当時18才の女の子がいなくなってしまったのだ。最初は気楽に「そこら辺にいるンじゃない」と言ってたが、捜せど捜せど見つからない。地元の警察、消防団、レスキュー隊、警察犬…大掛かりな捜索になればなるほど自分の立ち位置を見失い、先輩のリーダーと闇雲に奥多摩の山々を...
ウディ・アレン監督「ブルージャスミン」(DVD)を観て。
見落としてた作品。 以前、躁鬱な女性と交際してたことがある。どうも俺は躁鬱なご婦人と気が合うらしい。だって、ひとりではなかったからだ。俺の方が好んでいるのだろうか。いやいや、けっこうキツイところがあるぞ。あったぞ。そんなことを思い出しながら観ていると、エンディングの先行きが心配になってしまった。(ちょいと「欲望という名の電車」にも似てたが) ケイト・ブランシェット。上手いねえ。演技を...
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2021
9月
21
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ビリー・ワイルダー監督「サンセット大通り」(DVD)を観て。
高校卒業して40年。とても真面目に不マジメに生きてきた。分かれ道は迷わず楽な方へ。休みなく働いたことなどない。ゴールデンウィークは毎月ある。朝酒昼酒おかまいなし。 振り返れば恐ろしい。そしてありがたい。こんな田舎者の俺でも東京は受け入れてくれたのだ。フトコロ深いぞ。(知らないか。俺のことなんて。)貧乏とはいえ毎朝コーヒーを飲み、夜は酒を呑んでいる。部屋を追い出されたら次の部屋に潜り込む。借金...