大倉順憲さんの日記
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2021
9月
17
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ジーン・ケリー/スタンリー・ドーネン監督「雨に唄えば」(DVD)を観て。
今日は雨が降るらしい。そんな時は久々にこのDVDを観ようと心に決めてから、早朝近所のコンビニに出掛けた。途中、水道道路の下を潜るトンネルがあるのだが、そこで朝っぱらからなにやら撮影をしている。スタッフの様子を見ると、どうやら地上波テレビの撮影のようだ。なぜなら私は撮影スタッフの持つキャメラや録音スタッフの物干し竿マイク、車止めをしている制作スタッフのインカム等で分かってしまうのだ。私がベテランだ...
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2021
9月
14
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デレク・ツァン監督 「少年の君」(新宿武蔵野館)を観て。
主演のチョウ・ドンユイ。おお。あの「サンザシの樹の下で」(監督;チャン・イーモウ)に出てた娘か。あれからもう10年か。立派な女優さんになって、もうオジサンは嬉しいぞ。 http://www.webdice.jp/diary/detail/6395/ チンピラと優等生の恋。なんだか梶原一騎の「愛と誠」みたいじゃないかと思ったが、サスペンスフルな細かいカット割りと、次々に起こる事件で引きつ...
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2021
9月
12
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山田洋次監督「なつかしい風来坊」(DVD)を観て。
俺は〈不良〉が嫌いだ。〈不良〉の定義は様々あるだろうけど、ここでは自称他称〈ヤンキー〉とか〈輩〉と呼ばれる奴らを言う。ほぼ俺の偏見のみで記しておく。 ガニマタで歩き、道端に唾を吐き散らし、ファッションや持ち物は値段が高くて大きく目立つモノを好む。権力志向を持っていて、上下関係に厳しい。口のきき方にもうるさい。そのくせ、上の者の陰口を叩き、下の者をボロ雑巾の様に扱う。ひとりで行動できない。徒党...
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2021
9月
10
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前田哲監督「老後の資金がありません!」(東映試写)を観て。
老後っていつからなんだ。国民年金が支給され始める65才なのか。だとしたら、年金に入ってない俺はいつからなんだ。そもそも年金どころか、定年の無い、就職したことも無い、ろくでもない男には、老後なんてものは無いのだ。〈一生感動 一生青春〉だ。みつをだ。それも疲れる。 〈コメディ・エンターテインメント〉と銘打たない方が良かったのではないだろうか。 黒澤明は自作「用心棒」を〈喜劇〉と称した。こ...
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2021
9月
08
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トマス・ヴィンターベア監督「アナザーラウンド」(新宿武蔵野館)を観て。
立原正秋が毎朝ビールの小瓶を1本呑むと氏のエッセイで読み、池波正太郎が散歩の合間に神田の蕎麦屋でビール(大瓶)を呑んでからカレー南蛮蕎麦を食すると聴き、山口瞳が書いた「酒呑みの自己弁護」が如く俺も時々朝酒昼酒でキメてしまうのだが、何も諸氏の素晴らしい作風の恩恵も授からず仕舞いで、これこそ自己弁護、いや自己逃避だ。 そんな俺の尻を押して手足を天国にまで引っ張っていってくれた今年イチバンの洋画。...
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2021
9月
05
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サム・ペキンパー監督 「ガルシアの首」(DVD)を観て。
およそ30年ぶりに観た。近頃の世間に渦巻く何もかもを、スカッとブッ放す映画が観たいと思ったからだ。すると、意外にスカッとしなかったのだ(良い意味で)。言わずもがなアクションシーンは抜群だ。それと新たに気付いたところは、極度に残酷なカット(娘の指折り折檻、首切断など)の替わりに実景などを差し込んである(DVDで静止画像に出来るようになったせいもあるが)。バイオレンスにも情緒があるンだよ。恥じらいです...
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2021
9月
04
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チャールズ・ウォルターズ監督「イースター・パレード」(DVD)を観て。
鬱々とした生活環境にならざるをえない昨今。スカッとした映画を観にいこうとネットで調べてみても、チマチマした話や、どうでもいいアイドルもどきの恋愛映画ばかりでウンザリしてしまい…あ、思い出したぞ。これだ。俺、持ってたンだDVD。フレッド・アステア。素晴らしい。不世出のエンタティナーだ。子どもとの「ドラム・クレイジー」なるダンス・シーン(ワンカット!)だけ観ていても爽快な気分になる。改めて観て、ジュデ...
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2021
9月
01
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濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」(TOHOシネマズ新宿)を観て。
地味なタイトルとキャスティング。おまけに3時間という長尺。村上春樹が原作だとしても、カンヌで脚本賞をとってなきゃ観てない映画だろう。演劇テキストになるような稽古風景と俳優達の心象が描かれていた。これもなんだか珍しい。おそらくここら辺は、原作には無い部分であろう。サーブ900車内での岡田将生、一世一代のワンカット。北海道の雪山をバックにした西島秀俊の長台詞。リハ散々やったンだろうなあ。想像するだに恐...
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2021
8月
31
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バーナード・ローズ監督 「不滅の恋 ベートーヴェン」(DVD)を観て。
シド・ビシャスとベートーヴェンを演じたゲイリー・オールドマン。日本なら岡林信康と浜口庫之助か。(ロール・オーバーつながりということで)じゃあ、誰が演じるンだ。田口トモロヲ、中島陽典、2人とも年喰ったからなあ。ああ、若い頃の渥美清でどうだ。「男はつらいよ」以前の渥美清だ。狂気と才能にあふれてた(らしいし)。と、妄想しながら観てしまう。(妄想の方が忙しかった。)イザベラ・ロッセリーニは、いくつになって...
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2021
8月
29
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ショーン・レビ監督 「フリー・ガイ」(TOHO新宿)を観て。
柏原さん。これ、面白いです。確かに。 まず、メインの「モブキャラ」とヒールの「フリー・シティ社長」などの設定が、観劇し始めると、すぐに自分個人の設定に置き換えて入り込むことが出来ます(俺の場合だと、末端のモノカキと、電通のバカプロデューサーとかと)。 練りに練った構成と脚本。最初は『よくある大ざっぱなハリウッド映画かな』と、覚悟して観たンですが。いやいや、奥深い。タイトルの「フリー・ガイ」も...
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2021
8月
27
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WAHAHA本舗PRESENTS ポカスカジャンLIVE「 ミュージカル式ヘルプ! ジョンとポールがやってくる!」(下北沢シアター711)を観て。
初日。このご時世に(昨今このワードばかりだけど)ブレない。2人になって初めて観たけど、ブレない。初日なのに、詰めの甘さもブレない。そこが良い。次作には、大久保氏が愛するストーンズ・ヴァージョンを観てみたい。チャーリー・ワッツが亡くなったところで、ポール・マッカートニーとリンゴ・スターが加入して、スーパー・バンドを結成するとか。ジュリーとショーケンのPYGより凄いぞ。捨てネタのような「オール・ユー・...
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2021
8月
22
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2021
8月
18
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山田洋次監督 「キネマの神様」(新宿ピカデリー)を観て。
生前の淀川長治氏が某トーク番組に出演した際、MCに冒頭で「淀川さん、今、タイタニックが人気ですね~」なんて、いかにも落語のマクラのように振られて「いやあ、あの映画はつまんないですねえ」と発言したことがあった。MCアナウンサーは、しばし絶句。観ていた俺は爆笑したのを覚えている。山田監督は、今そのような境地にあるのではないか。淀川氏は「日曜洋画劇場」の解説を卒業されてからのことだったし、山田監督も、「...
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2021
8月
04
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ミュージカル『衛生』~リズム&バキューム~(TBS赤坂ACTシアター)を観て。
7月24日(土)18時。脚本・演出:福原充則。福原氏の作品は10数年前に1度観たことがある。たしか、宮崎あおいが出ていて、六角精児がチャリンコのホイルを背負い「僕は自転車の神様だよ。チリンチリン」と出てきたのに爆笑した覚えがある。今回は、う~ん。下ネタは大好きだけど、それはエロの方で尾籠なのは苦手だ。宝塚出身の(この劇団の人は、一生こういうふうに言われるンだろうな)咲妃みゆが、意外にも(シツレイ!...
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2021
6月
17
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市川準監督 「トキワ荘の青春(デジタルリマスター版)」(CINEMA Chupki TABATA)を観て。
25年前に観た時は『漫画家の話なのに、なんだか陰気なドラマだなあ』などと感じたのだが、今こうやって改めて観てみると、1シーンごとの映像と台詞の重さがひしひしと感じられる良い映画だった。それは青春の夢と彷徨、挫折を自分でも体験したからであろう。編集長役が〝ゆきゆきて”原一男監督だったり、手塚治虫役が〝寿歌”北村想なんてのは、ナイスなキャスティング。当時は気が付かなかった。赤塚不二夫役の大森嘉之が良い...
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2021
6月
01
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Road to 2027「仲道郁代 ピアノ・リサイタル 幻想曲の系譜 -心が求めてやまぬもの」(サントリーホール)を観て
モーツァルト:幻想曲 K.475 ハ短調 シューマン:幻想曲 Op.17 ハ長調 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第28番 Op.101 イ長調 シューベルト:「さすらい人幻想曲」D760 Op.15 ハ長調 *アンコール:亜麻色の髪の乙女/ドビュッシー 哲学的。かつブンガクだよなあ。クラシックって。まだまだ深いぞ。掘り当てろ。俺。
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2021
5月
30
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ミュージカル「レ・ミゼラブル」(帝国劇場)を観て。
圧巻の迫力と歌唱力で魅せられた2時間半だった。商業演劇というものは、どうしても敷居が高く感じられてしまっていたが、ポン友六角精児出演がキッカケとなり、やっとこさ観劇。数多なる再演とロングランが続く作品がつまらないワケが無い。それに大劇場でよくあるような『舞台の上だけで面白いことをやっている感』ではなく、観客を巻き込む劇団力とも言える求心力があった。特にテナルディエ役の六角、(身内びいきするわけでは...
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2021
5月
02
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白石和彌監督 「孤狼の血 LEVEL2」(丸の内TOEI試写)を観て。
これはヤクザ映画じゃなくて、サイコ映画なのか。昭和の名作“仁義なき戦いシリーズ”へのオマージュだとしたら、2作目の広島死闘篇で北大路欣也演ずる山中正治が、今作は鈴木亮平演じるサイコ・キラー組長になるのだろうが、暴力への起動が薄く感じられた。目ン玉をくり抜く残虐性の根源が俺には見えてこなかったのだ。復員兵であり特攻隊の生き残りという絶望と哀しみを背負った山中が、ラストで銃口を咥えて自決するシーンに、...
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2021
4月
26
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フィリダ・ロイド監督 「サンドラの小さな家」(新宿ピカデリー)を観て。
企画・脚本・主演が同一人物だと、ドヤ顔アップの、ちょいと自己PRが強くなってしまいがちなのが多いのだが、このクレア・ダンなる新進女優(たぶん?)、サラッとした演技が良い。悲劇的結末なのに、ラストは夢と希望を持たせてくれるのも良い。法廷で、彼女(サンドラ)のアザ化粧を拭き取り「あなたはこの方が良いわ」というシーンが秀逸。協力する面々も、ダウン症の息子(こいつが良かった!)、不法占拠の物件に住む女性、...
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2021
4月
23
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リー・アイザック・チョン監督 「ミナリ」(新宿TOHO)を観て。
すべて神ありきなのか。神がすべてなのか。濃密な演技合戦(特に男の子は絶賛)で、背中に十字架のポールの設定も興味深かったが、キリスト教の勧誘を受けているような感もあり。かなり男性目線だよなあ。でも、これが今のアメリカの実情なんだろう。こういうの、オスカー獲るンだろうな。