大倉順憲さんの日記
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2021
4月
11
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クロエ・ジャオ監督 「ノマドランド」(新宿TOHO)を観て。
コロナ渦中に、こりゃ凄い映画を観てしまった。ラストのキャストクレジットを観て、まさかと思ったのだが。調べてみたら、メインの2人以外、本物のノマド達だそうだ。もちろんシロウト。こんなのどうやって撮ったンだ。リアル過ぎるじゃないか。いや、これももう1回観てみたいぞ。しかし、オスカー女優(伊藤雄之助みたいなツラだけど)に立ちションベンとクソまでさせるかよ、この監督。あ、女性かあ。男なら出来ないよな。 ...
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2021
3月
27
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成島出監督 「いのちの停車場」(東映試写室)を観て。
吉永小百合様。御年76才。素晴らしい。抱ける。脚本が山田洋次監督の弟子平松恵美子、そして西田敏行さんが出ていることもあって松竹っぽい展開に思えたが、エンディングが潔い東映三角マーク。岡田裕介Pへの追悼作品って感じもするし。今の映画界での豪華キャスト(賛否もあるだろうけど)なのだが、チラシにクレジットされてない子役の佐々木みゆ(「万引き家族」で名演。エンディングの横顔最高!)の抑揚の少ない台詞と、舞...
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2021
3月
20
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今村昌平監督 「西銀座駅前」(DVD)を観て。
おおっ、助監督が浦山桐郎かあ。後々の巨匠コンビじゃないか。フランク永井の歌謡映画を、ゴリゴリの人間ドラマに持って行ってるのは流石。ハチャメチャな喜劇の中にも、柳沢真一の病気を戦争後遺症にして、反戦思想を匂わせているし。こんなのも撮ってたンだ。ここでも、小沢昭一、西村晃が脇で好演。そして肝心のフランク永井を、様々な役柄でストーリーテラーの如く用いてるは、秀逸。なにかの際にはパクりたい。
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2021
3月
19
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今村昌平監督 「盗まれた欲情」(DVD)を観て。
再見。30年程前に観たはずだけど、ほとんど覚えてなかった。ああ、これが第一回監督作品だったのか。もう、今平ワールドてんこ盛りだったじゃないか。小沢昭一、西村晃のインチキ臭さ最高。しかし、このタイトルとポスター、なんとかならんかったのかね。
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2021
3月
06
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藤井道人監督 「ヤクザと家族 The Family」(新宿TOHO)を観て。
「すばらしき世界」が、勝新太郎なら、この「ヤクザと家族」は市川雷蔵か。(主役の存在とか作品全体のイメージを例えると)。生来の暴力性と悲劇性を備えた男たち。前者がカタルシス、後者がカタストロフィーに感じた(どちらの観方もあるだろうけど)。キャストはそれぞれとても良い。北村有起哉は両作品に出てるンだけど、同一人物かと疑うほどチャンネルの切り替えが素晴らしい。尾野真千子も良い。翼役の磯村勇斗なんか、惚れ...
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2021
2月
18
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西川美和監督 「すばらしき世界」(新宿ピカデリー)を観て。
絶賛。すばらしい。役所広司さん出色の作品じゃなかろうか(全部観てるわけじゃないけど)。西川美和監督作品の中ではベストだ(これは全部観てる)。ひとりの男の生き様が2時間できっちり描かれていた。中盤の東京タワーを中心にした夜景の俯瞰とラストの青空、そして現れるタイトル「すばらしき世界」。素晴らしい。役所さんが演じるアウトローが巣立った施設で子供たちと興じるサッカーシーン。号泣。ポン友六角精児が演じるス...
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2021
2月
13
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坪川拓史監督 「モルエラニの霧の中」(神保町 岩波ホール)を観て。
3時間35分の長尺。時代に逆行して、よく撮った!俺もよく観た。1カット、1シーンがやけに長い。地元の方々なのだろうか。朴訥な演技をされているのも、観ているうちに好感を持てる。「俳優は亡くなっても映像に残されているから良い」なんていうけど、大杉漣さんが胸を押さえて倒れるシーンは堪えた。介護をする小松政夫さんの姿も身に沁みる。室蘭に住み、室蘭とともに生きている監督の、過去から現代そして未来への希望を感...
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2021
1月
30
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マーティン・ロセテ監督 「43年後のアイ・ラヴ・ユー」(新宿ピカデリー)を観て。
俺の今年初映画。年頭に良い映画を観た。弘兼さんの「人間交差点」に出てくるようなネタだ。70才にして、ここまで女性を愛することが出来るのだろうか。ジイサンの回顧録だけなのか。俺の12年後は、どうなってンだろ。観ながら自問自答ばかりの90分だった。おお、まさに♪「永遠の嘘をついてくれ」だよ。拓郎!中島みゆき! 主人公の娘役、シエンナ・ギロリーが「バイオハザード」の頃より色っぺえ年増になっていて収穫。...
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2021
1月
28
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クリント・イーストウッド監督 「トゥルー・クライム」(DVD)を観て。
なんだか物足りないなあ。実際にあった事件を基にしているらしいけど、脚色せずに事実通りにやった方が良かったのではないか。撮影も2時間ドラマのようなアップばかりだし。イーストウッド、こういう無鉄砲で男前の役柄はこれがやり納めということだったのか。救いは、ラストに出てくるオモチャ屋の店員役の、ルーシー・リューよ!ああ、わが愛しのルーシーちゃんよ!
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2021
1月
27
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ジェイソン・ライトマン監督 「JUNO/ジュノ」(CX)を観て。
ああ、こんな良いのを見落としてたなんて。主役のエリオット・ペイジ。絶賛。こんな難しい役柄を…と思って調べたら、トランスジェンダーだったとか。なるほど。その後、パッとしてないのも、この役だけだったのか。「ベティ―ブルー」のベアトリス・ダルのようか。しかし、金八先生みたいな妊娠話、結末がイマイチだよなあ。もひとつ意外なる展開が欲しかったよなあ。
トム・マッカーシー監督 「スポットライト 世紀のスクープ」(DVD)を観て。
事実を基にしてある脚本だから成立したのであろう。カソリック教会は、どう反応したのか。後で調べてみるか。宗教家、いや、権力を持っている「先生」なんて呼ばれて図に乗っている奴らなんてロクな奴はいない。まあ、そう呼んでる方もバカだと思うが。アメリカ映画は、自分たちの恥部をこうやって晒してくれるのがいい。ちょいと下っ腹が出たマイケル・キートン。良いなあ。
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2021
1月
16
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クリント・イーストウッド監督 「パーフェクト・ワールド」(DVD)を観て。
見落としてた作品。やや猫背のイーストウッドの背中には、頑固で骨のある男のすべてが詰まっている。パーフェクトな脚本と演出。「親父の住むアラスカからの絵葉書」と「交換条の件がハロウイン」には泣かされた。いや、外さないなあイーストウッド。「硫黄島」と「星条旗」は別物だけど。
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2020
12月
15
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井筒和幸監督 「無頼」(新宿ケイズシネマ)を観て。
これはまさに今の「仁義なき戦い」だ。公開前、内容についてあまりアナウンスされてなかった理由がわかった。もろG組のことじゃないか。現代ヤクザの死に際を演じた中村達也が良い。メインの役者より、脇の役者達が生き生きと演じている。これも「仁義なき」と同じだ。井筒監督のオマージュなのだろう。深作監督の「北陸代理戦争」や小林旭の台詞まで出しちゃってるし。G組長の誕生会シーンなんて、いいのか!?大丈夫なのかマイ...
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2020
12月
04
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山田邦子還暦記念公演 紀伊國屋書店提携公演「 山田邦子の門2020~クニリンピック~」(新宿紀伊國屋ホール)を観て。
12月3日(木)13時半。5月公演予定の作品を延期し、満を持しての本公演。前回のサザンシアター公演の続編。小ネタ満載のストーリー展開の中に、弱小プロレス団体が持つ〝見世物”としての猥雑さや〝興行を打つ”という悲哀に満ちていて見ごたえあり。まだ新しいサザンシアターより、かつては小劇場の殿堂と言われた紀伊国屋ホールの好々爺のような佇まいの方が、見世物小屋としての空気を醸し出し、ソーシャルディスタンスで...
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2020
12月
03
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篠原哲雄監督 「起終点駅 ターミナル」(DVD)を観て。
ん~。わからん。物語の起点となる尾野真千子が飛び込み自殺した原因は?本田翼の両親と姪が同じ日に死んだ理由は?(一家心中なのか?)佐藤浩市が酒を断っている…ようだけど、泉谷しげるとは一杯呑んだのか?中村獅童が何故そんなにまで佐藤浩市に顧問を頼むのか?(過去に世話になったというのはわかるが)。原作を読めばわかるのであろう。尺の都合でカットになった、もしくは“推して知るべし”ということか。多くを語らない...
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2020
11月
27
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東京タンバリンわのわ公演 「さとうは甘い」(東京国立博物館 九条館)を観て。
11月25日13時。作・演出:高井浩子。柳家喬太郎師の肩に力の入らない、いや無力感というべきだろうか。他の演技者と比べて等身大の存在感が圧倒的。別格。他の方々も、それぞれ良いのだけれど、ズルいほど目を惹きつける喬太郎師。なんだか役柄に、スーッと入ってるように見える。それだけに胡散臭ささインチキ臭さまで感じてしまったぞ。まあ、実際そういう人なんだろうけど。落語家という本芸からの余芸だからなんスかねえ...
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2020
11月
26
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波多野貴文監督 「サイレント・トーキョー」(東映本社試写)を観て。
<ネタバレ注意!>爆弾を仕掛ける話となれば「太陽を盗んだ男」を想起してしまう映画世代の俺には、“仁義なき”菅原文太VS〝TOKIO”を背負ったジュリーという異色の構図にゾクゾクして、いまだに年に1度は観たくなってしまうけど、この佐藤浩市VS西島秀俊は如何なものか。と、小うるさい映画好き親父の視点で観てしまった試写会。佐藤浩市さんの眉間に刻まれたシワ。西島秀俊の深い豊齢線。これだけで物語...
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2020
11月
25
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クリント・イーストウッド監督 「アメリカンスナイパー」(DVD)を観て。
見落としていた作品。反戦のメッセージは伝わってくる。実話だし。ブラッドリー・クーパーの演技、兵士役の為に作り上げた肉体も素晴らしい。娯楽作品だけではない、イーストウッド御大の映画も良い。しかし、ラストに狙撃者が暗殺されてしまうという結末(実際に起きたとの事)で無ければ、どう決着がついたのだろうか。戦争礼讃プロパガンダになってしまわなかったのか。それは物語が進むにつれてアメリカ側を応援してしまってい...
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2020
11月
02
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山田洋次監督 「小さいおうち」(DVD)を観て。
見逃し作品。原作は読んでないけど、昭和のメロドラマのような話を、山田マジックで見事に昇華させてる。昭和初期の歴史的価値観の違いをシニカルにとらえてるとこが良いなあ。黒木華と松たか子の対比的な演技が絶品。こういう顔つきの女優が良いンだろうなあ。これからは。室井滋の芝居は、どうも毛色が違って嫌だな、俺は。キャストは、もう山田洋次劇団だよ。こういうところも安心して観られるんだろうなあ。
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2020
10月
28
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ナンシー・マイヤーズ監督 「マイ・インターン」(DVD)を観て。
見落としていた1本。俺は、デ・ニーロが好きだ。「ミーン・ストリート」「レイジング・ブル」「タクシー・ドライバー」「ディア・ハンター」「ゴッド・ファーザー」…何回観てもたまらんぜ。いつぞや、映画学校に通う近頃の若いモンと呑んだとき、デ・ニーロを知らない、観た事が無いという輩がいた。それもひとりやふたりじゃない。ああ。話にならん。そばにいた講師に説教してやったぞ。バカヤローめ。アニメがなんだ。俺は役者...