2021-09-12

山田洋次監督「なつかしい風来坊」(DVD)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 俺は〈不良〉が嫌いだ。〈不良〉の定義は様々あるだろうけど、ここでは自称他称〈ヤンキー〉とか〈輩〉と呼ばれる奴らを言う。ほぼ俺の偏見のみで記しておく。
 ガニマタで歩き、道端に唾を吐き散らし、ファッションや持ち物は値段が高くて大きく目立つモノを好む。権力志向を持っていて、上下関係に厳しい。口のきき方にもうるさい。そのくせ、上の者の陰口を叩き、下の者をボロ雑巾の様に扱う。ひとりで行動できない。徒党組むの大好き。政党は保守好み。地元の市会議員なんかに酒を奢って、様々な融通が効くようにふるまう。「あいつに言えば、イッパツだよ」なんて。そのくせその議員の前では「センセ―」などと卑屈に笑う。家族を大切にしてるフリをして、女好き。拝金主義。(まあ、女好きは良いか。俺も否定出来ないし)
 山田監督も同じ意見じゃないか。(俺が言うのも身分不相応だろうけど。どうせ山田監督が、この拙文を読むわけないだろうから)
 
 労務者のハナ肇が、公務員の有島一郎の事を〈先生〉と卑屈に呼んでいる。有島一郎も否定しない。わざと、この関係性を揶揄する為に設定したんではなかろうか。反骨精神の森崎東も脚本に入ってることだし。ふざけた態度の刑事も、官憲に対する意思表示だろう。喜劇という形を取っているけど、観ていてスッキリした。ザマミロ。

 渥美清のライバルとされたハナ肇。個人主義を貫いた渥美清と、権力志向のハナ肇。その人生に勝負はあったのか。市川準監督の「会社物語」でハナ肇が演じた、親分肌が空回りする切ない男は好きだけど。やっぱり俺は〈不良〉が嫌いだ。文句ある奴は、かかってこい!

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大倉順憲

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