大倉順憲さんの日記
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2021
12月
30
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柳町光男監督「さらば愛しき大地」(新宿ケイズシネマ)を観て。
根津甚八の命日にあたる12月29日(水)。19時30分。 故郷奈良を嫌って逃げ出してから、今年でちょうど40年。 年末になると、少し郷愁にかられる事もあるけれど、やはり俺は田舎が嫌いだ。昭和のバカヤンキーが化石の如くのさばり、息も出来なくなるほどの閉塞感、排他的思考。だだっ広い野原を見ていると脳味噌がかゆくなりイライラしてくる。 茨城の田園と森を眺めていたシャブ中根津甚八の眼には...
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2021
12月
23
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矢沢永吉 CONCERT TOUR 2021「I'm back!! ~ROCKは止まらない~」(日本武道館)を観て。
12月21日(火)1階南スタンドA列13番。 来年でデビュー50周年の永ちゃん。72才。彫り刻まれたシワだらけの笑顔で、絞り込んだ肉体を最大に駆使して動き回る姿には、男の哀愁を感じる。ミック・ジャガーのスタイリッシュなステージングとは対極的だ。ロッド・スチュアートを真似たマイク・アクションの際、生じる「ゴツン!」というマイク・ノイズも、今迄観た中で、最も大きなボリウムに思えた。それは気合いの入...
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2021
12月
20
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劇団KⅢ公演「黎明記」(日暮里d倉庫)を観て。
12月19日(日)15時。千秋楽。 劇中に出てくる金髪女性「ハル」と「ナツ」は、村上龍の「コインロッカーベイビーズ」に出てくる「キク」と「ハシ」、もしくは黒澤明の名作「隠し砦の三悪人」で千秋実と藤原鎌足が演じた役がモチーフとなっているのだろうか。時代劇の扮装で剣戟エンタテイメントを謳っているようだが、近未来の日本における紛争を描かれているようにも思わせる意欲作だった。 しかし、小劇場の空間...
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2021
12月
18
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作:唐十郎「泥人形」(渋谷シアター・コクーン)を観て。
12月16日(木)18時30分開演。B列7番。 40年程前に、大阪の神社で観た状況劇場のテント芝居は、衝撃的だった。観客席はすべて桟敷で、すし詰めなのに、誰も不平を言うものもおらず、むしろその雰囲気を楽しんで体験したように思う。まだ李麗仙さんが堂々とメインを張り、佐野史郎さんが池の中で船を動かすだけの道具係(?)だった。ラストのホリゾントが落ちたときの感動は、今でも忘れられない。 風間...
劇団 扉座40周年記念公演 「ホテルカリフォルニア -私戯曲 県立厚木高校物語-」(新宿紀伊國屋ホール)を観て。
40年間劇団をやり続けるのって、並大抵の事では無かったろう。その想いがノスタルジー、かつシニカルに描かれている。またしても劇団力の底力を魅せつけられた。 六角精児のダンスに切なくなるほどの哀愁を感じる。有馬自由クンがメインの役どころを、狂言回しかの如く演じ切り、際立って良かった。ラストの台詞「唄ってくれよ」にはシビれたぞ。
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2021
12月
13
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ジャン=リュック・ゴダール監督「ワン・プラス・ワン」(新宿ピカデリー)を観て。
土曜日の昼下がり。「チャーリー・ワッツ追悼」のコピーを見てしまうと、ストーンズマニアなら線香の1本でもあげに行かねばならない。いざ新宿へ。すると意外にもロビーに若い女性がたむろしている。あ、「嵐」の映画が掛ってるからか。いい年こいて、何が「嵐ぃ~嵐ぃ~おぅいえぃ~」だ。ビートルズは、20代中盤で、ロックの金字塔「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を作ってるンだぞ。このスト...
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2021
12月
10
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園子温監督「「エッシャー通りの赤いポスト」(六本木アスミック・エース試写室)を観て。
「俺」印の旗をはためかせ疾走する園子温を、かつて中野にあった武蔵野ホールで観たのは、今から30年程前だ。確か「自転車吐息」と「俺は園子温だ!」の併映だったと思う。上映後、黒のトンビを羽織り、サングラスにシルクハット姿で出口付近に佇んだ挙動不審の園子温は、「ありがとうございました」と聞き取れないほど小さな声で呟いていた。エロスと暴力を執拗に描き、まるで犯罪を肯定化するような過去の作品群は、監督自身...
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2021
12月
05
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宮岡太郎監督「成れの果て」(新宿シネマカリテ)を観て。
日曜日の昼下がり。新宿で買い物のついでに、ふと観に寄った。劇団で掛けた芝居を映画化したというコピーに興味がわいたからだ。出演者全員、誰も知らないけど、皆テンション高く魅力的だ。でも、緊張感の連続は、今の俺の年齢にはちょいとつらい。もうちょっと遊びのあるシーンが観たかった。よく作ったとは思うけど(ロー・バジョッドなのは察するが)。劇的な演出、たっぷり過ぎる感情の起伏シーン、閉ざされた空間だけのカッ...
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2021
12月
04
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纐纈あや監督「ある精肉店のはなし」(ポレポレ東中野)を観て。
住宅街の中、肉牛を屠場まで引いていき、割る(殺す)という冒頭から最後まで、片時も目が離せないほど説得力あるシーンの連続。牛、肉、皮、血、そして血族、土着民…生きとし生けるものの生と死。部落差別へのメッセージ性も、刺激的になり過ぎずにひしひしと伝わってくる。後半に訪れる屠場最後の解体シーンが、冒頭に感じたグロテスクなものよりも、なんだか愛おしく思えてきた。上原善弘の「路地の子」を読んだ後だったので...
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2021
12月
01
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ジャスティン・リン監督「ワイルド・スピード/ジェットブレイク・ディレクターズ・カット・ヴァージョン」(試写・ユナイテッドシネマ豊洲)を観て。
ひと昔前の映画「スピード」で、デニス・ホッパーがキアヌ・リーブスを追っかけて地下鉄の上から出てきたとき、「そんなわけないやろ」と心の中でひとりツッコミを入れたのを思い出したが。いやいや、この映画はそんなどころではない。登場人物全員不死身のターミネーターだ。つっこむ余裕などみせないカット割りとテンポ。アクションだけではなく、親兄弟の愛憎、契りなんぞも入っていて、監督は新国劇のファンなのかとも想像さ...
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