「学ぶとは、真似ぶことだ」とは、確か勝新太郎の言葉だったと覚えている(勝新も誰か先輩に教わっていたかも知れないけど)。様々な表現者の中で「モノマネ芸人」だけは、自分自身の業というものを出し尽くせないと、以前から考えていた。似れば似るほど、自分自身では無くなるからだ。それだけに、芸の工夫と表現者としての在り方の葛藤が凄まじいモノになると思う。一流と言われているモノマネ芸人ほど、その数限りないバーを、より多くクリアしているはずだ。クリアしていない芸人ほど酒と客イジリに溺れやすい。で、フッキーちゃん。すべて「矢沢」でやるのか、芸人としての「矢沢」を演じるのか、どちらなのか期待と心配をしていたのだが、鮮やかに後者で突っ走った。「矢沢」と、「矢沢」を演じている「フッキー」、傍観者「葺本光秀」のベクトルがバランス良く、ちょうど正三角形で輝いた。ただ苦言を呈すれば、最初なんで思いが強すぎたのか、ネタがテンコ盛り過ぎたところが難点。「アニソンコーナー」、ラストの「ゲストコーナー」は60%程で良いのではないか。それとエンディングはバラードでなく、弾けるロックンロールで。お客は「矢沢」を観に来たのではなく、「フッキー」を観に来たのだから。タイトルに「VOL.1」となっているので、是非定期的に公演出来ることを願う。次回は「キャロル解散コンサート」の完コピとかね。ネタ無しで。う~ん。マニア向け過ぎるか。