2013-10-04

河瀬直美監督 「殯の森」(DVD)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 20年前の夏、知的障害者介護の仕事をしていた時、奥多摩の山で18歳の女の子を失踪させてしまったことがある。地元警察から消防団、養護学校の教師達総動員で日々捜索したが見つからない。正直、もうダメだと思った。「人を殺した」と思った。実際、世話になった旅館の女将さんから「秋口になって葉っぱも落ちたら見つかるでしょう」と言われた。「それって白骨じゃないか」愕然として意識朦朧になった事を覚えている。結局捜索4日目の早朝、山梨県の川べりで釣り人に発見された。衣服はボロボロだったが、五体満足でスリ傷程度。何処を彷徨っていたのか、いまだにわからないが・・・そんな事を思い出してしまったよ。この映画。河瀬監督自身の死生観なのだろうけど、カンヌで賞をもらったそうだけど、いまいち伝わってこなかったなあ。尾野真千子。最近、ちょいと関西独特の泥臭いオバハン臭が出てきた彼女より、初々しい捨て身の演技が良し。主役の素人さんが、認知症の顔つきに見えないとこが惜しい。(ふだんの生業は文筆業らしいから、知的な感じがするのだ)台詞が聞き取れないという、「コトバは記号だ」の表現法は分かるのだけど、あまりにもストレスが溜まるのです。田原の土葬は今でもやってんだ。懐かしいぞ。ラストのモヤっとした、光が見えそうで見えない幕切れは秀逸。と、文句を言いながら、この作品を今更DVDで観てる俺も俺だが。

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大倉順憲

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