2022-05-04

朗読劇「リスナーたちの星空」(新宿紀伊國屋サザンシアター)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

脚本・演出:土田英生

 朗読劇は、むずかしい。台本を読めば良いのだけど、それだけじゃあ観客は飽きてしまう。
それではと台本を持って動いてみたら、これは舞台の立稽古に見えてしまう。

 100本程の朗読劇公演に関わって考えついたことは、朗読劇は『朗読芸』なら成立するのではないだろうかということだ。台詞の抑揚、緩急の付け方、目線、そして間。
演者それぞれの声の質を生かした技を出し合い、時には声色を使って勝負する。
落語の域まで達すると素晴らしいのではないだろうか。あ、そうか。落語家さんにやってもらえば、どうだ。個人芸しかやってないから、これはこれでちょいとむずかしいか。もう、いいか。朗読劇は。

 あ、思い出した。以前、新国立劇場で観た朗読劇。確か、舞台上の椅子に男性が2人、女性が2人が座り、男性のひとりは『ト書き』を読む役だった。とても響く良い声で。
「ナターシャはドアを開けて入ってきた」とか、「コーヒーカップを手に取り、ひと口飲む」とか言ってたンだが、おもむろに、「間」とか、「少しの間」とか、言い出した。
 「間」は、言わなくても良いのではと思ったけど、まじめに演じられているからしょうがない。もう堪えられないほど、笑いそうになってしまったけど、雰囲気的に笑えない。
 いや、あれは心の中で爆笑した。そういう狙いだったのか。なわけないか。

 いやはや、朗読劇はむずかしい。

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大倉順憲

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