2022-04-16

水谷豊監督「太陽とボレロ」(試写・東映本社)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 「傷だらけの天使」⇒「熱中時代シリーズ」⇒「相棒シリーズ」と、クセのある台詞と動きのキャラクターで当ててきた水谷豊。まもなく古希を迎え、刑事役はそろそろ定年という心境なのだろうか。今作は、ベテランの指揮者で、あまり多くを語らない(語れないのだが)という役どころ。脚本と監督を兼ねているのだから、ちょうど良いポジションだったのだろう。そのかわりに、主演に壇れいという美人女優を立てて、脇にはひと癖ある役者陣を配置し、コミカルにもシリアスにも演じさせたのは、エンタテイメントとして成功だと思う。
 だけど、逆に演技では素人の世界的指揮者西本智実を出してきて一切語らせないから、この人が一番印象に残ってしまったぞ。次に残ったのが、語らない(語れない)水谷豊だ。これも策略か?ズルいぞ。ラストのオーケストラ演奏には不意に涙した。これもズルいなあ。

 水谷豊のライオンの様な髪型を何処かで観た覚えがあるなと考えたら、若き日のクリント・イーストウッドだ。オマージュなのかね。考えすぎか。「ダーティー・ハリー」から「許されざる者」に行けますかね。でもやっぱりもういちど観たいのは、「傷だらけ」のアキラだと思いますよ。オサムや綾部探偵事務所の面々は、もういないンだから、あなただけですよ。次回作は、水谷版の「グラン・トリノ」を期待しております。なにしろ中学の時、初めて通販で買ったプロマイドアは、リーゼント姿の水谷豊さんだったンだから。

<追記/ネタバレ>
 高いメシ喰って酒呑んでホテルの部屋まで行ってるのに、「無理!」とハイヒールのカカトで男を殴る壇れいには同情出来ないぞ。山中崇史、同類相憐れむ。
 

キーワード:


コメント(0)


大倉順憲

ゲストブロガー

大倉順憲


月別アーカイブ