2021-12-30

柳町光男監督「さらば愛しき大地」(新宿ケイズシネマ)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 根津甚八の命日にあたる12月29日(水)。19時30分。
 故郷奈良を嫌って逃げ出してから、今年でちょうど40年。
年末になると、少し郷愁にかられる事もあるけれど、やはり俺は田舎が嫌いだ。昭和のバカヤンキーが化石の如くのさばり、息も出来なくなるほどの閉塞感、排他的思考。だだっ広い野原を見ていると脳味噌がかゆくなりイライラしてくる。
 
 茨城の田園と森を眺めていたシャブ中根津甚八の眼には、本当は何が映っていたのだろうか。秋吉久美子はクズ男根津に刺された瞬間、幸せだったのではないだろうか。悲劇的結末が逆の意味に感じる年頃になってしまったな、俺。どのシーンを観ても無駄が無い。どの俳優を語っても酒が進む。
 終演後の監督トークショー。手柄自慢と幇間茶坊主の話が多くて辟易する場合が多いのだが、思わず身を乗り出して、子供のように頷きながら聴き入ってしまうほど、良い話だった。柳町監督エライぞ。

 何回もビデオ等で観ているが、この作品は映画館で観たかった。
 2021年の締めに相応しい、コップ酒を呷ったように腹にズンと響く良い映画だった。
もう思い残すことはない。終演後、熱燗3合と焼酎何杯呑んだか分からない。朝まで美酒に酔う。

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大倉順憲

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