2021-09-21

ビリー・ワイルダー監督「サンセット大通り」(DVD)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 高校卒業して40年。とても真面目に不マジメに生きてきた。分かれ道は迷わず楽な方へ。休みなく働いたことなどない。ゴールデンウィークは毎月ある。朝酒昼酒おかまいなし。
 振り返れば恐ろしい。そしてありがたい。こんな田舎者の俺でも東京は受け入れてくれたのだ。フトコロ深いぞ。(知らないか。俺のことなんて。)貧乏とはいえ毎朝コーヒーを飲み、夜は酒を呑んでいる。部屋を追い出されたら次の部屋に潜り込む。借金踏み倒しはすべて忘れるに限る。偏屈。傲慢。人嫌い。個人主義。ああ、よくも殺されずに生きてこれたものだ。

 「サンセット大通り」。初めて観たのは30年程前、確か池袋文芸坐だったと思う。予備知識無しで観たので、コメディかと思ったら一種のホラーだったので驚いたのを思い出した。改めて観ると、構成や設定などを三谷幸喜はパクリまくってるなあ。(いや影響されてる。としておこう)

 金持ちの女優を利用する、うだつのあがらない貧乏脚本家。優雅なヒモ生活。友人の女を寝取るマメ泥棒。裏切りの末、背後から鬱病女優に射殺され、プールで土左衛門。ああ、これは俺だ。(「七人の侍」で三船敏郎が焼け落ちる農家から子供を救いあげたときの心境と同じだ。)俺の行く末だ。

 「女優フランシス」のジェシカ・ラング、「ベティ・ブルー」のベアトリス・ダル、「欲望という名の電車」のヴィヴィアン・リー、「ナチュラル・ボーン・キラーズ」のジュリエット・ルイス、「どん底」の山田五十鈴、アブナイ女は離れて見てるのは良いが、近寄ると火傷する。だけど、なんだか好きなんだなあ。
 余談だが(こんな文章、全部余談だ)、演技派と呼ばれる(呼ばれたい)女優ほど、精神病患者のような役柄を演じたがる。あえて誰とは言わないが。(日本だけかな)

 これからは真面目に生きていこう。土左衛門かあ。俺、金づちだしなあ。とりあえず今日は呑もう。月見酒だ。十五夜、あと何回見れるだろうか。ナニおセンチ気取ってンだ、俺。

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大倉順憲

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