4月7日 ソワレ
冒頭シーンの六角のヤサグレ感が良い。不貞腐れているのだけども、少々疲れ気味の六角の横顔に、中年の悲哀と「僕の将来に対するただぼんやりとした不安」という芥川の言葉を思い出した。バンドマンは、見果てぬ夢を追い続けるドンキホーテなのか。それは、企業戦士たちにとっては、生き方そのものが“夢”なのかも知れないけど、当人たちは気づいていない。つまり、バカなのだ。夢を追いながら生活出来ること自体が、男の理想の生き方なのだ。と、自分自身に言い聞かせる場面が幾つもあった。観客が笑っていても、我が身を省みて笑えないところも多々あった。「ありがとう」という台詞で、サッパリ終わるのが良し。それしか言えないんだよなあ。中島さんの脚本は、後でジワジワと俺の胃腸に響いてくる。
女優、趣里の歌が沁みた。まだ不器用なんだけど直線的な演技が冴えたのも、中島さんの演出手腕か。
考えさせられることよりも、忘れ去りたいことが多くなり、夜明けまで呑み続けた。