作・演出:金塚悦子「ランチ」
作:嶽本あゆ美 演出:田中史子「スリー・ピース」
何だか最近、「朗読劇がハヤリ」なんて言葉を下北沢の酒場で耳にしたけれど、演劇で「ハヤリ」なんてあるのか。70年代のアイドル達は“将来の夢”と聞かれたら、ほとんどのモノが「ミュージカルです」って答えていたと覚えている。「テント芝居の劇団に入りたい」とか「朗読劇です」とか答えるアイドルがいたら面白かったのに。そういえば、ここんところ「テント芝居」は観てない。10年程前、新宿花園神社で劇団唐組の芝居を観たのが最後だ。あの時は桟敷だったっけ?近いうちに外波山さんの椿組が花園でやるらしいが、まだ桟敷なのだろうか?桟敷だったら肉体的に無理だ。拒否。関係者にちょっと聴いてみよう。
で、リーディング公演。変わった女優さんたち(妙齢の)が、変わったスペース(2階のギャラリーから見下ろす客席)に集った。女性が女性の様々な女性の生き様を(死語か?)描き演じる。ホントなら俺が嫌いなドロドロとウエットなシーンも、思いっきりグチャグチャなので、潔く感じられた。振り幅イッパイなのが、気持ち良い。(金塚さんの方の、痴漢シーン&嶽本さんの幕開け絶叫シーンとか)金塚さんの方は、4人の女性が演じたのだけど、全部が金塚さんの分身化身なのではないか。嶽本さんの3名もしかり。「ゴッドファーザー」のメイキングを観たら、あのコッポラの実父へのオマージュ的シーンが、かなり入っていたようだし。なんだかんだいっても、表現者にとって人生経験が一番だよなあ。どちらも登場人物の30余年という時の流れを感じさせ、「朗読劇にしか出来ないこと」をやってくれたので、ウレシイ。JR東海のCM音楽を口ずさむ演出は、今度何かでパクります。