欲望の誘惑にかられるままに酒と女に溺れ、金を遣い、妻子まで殺してしまった男の逃亡劇。
彼にシンパシーを感じてしまう自分が怖い。犯人を執拗に追いかける川谷拓三さんの抑えた芝居が心を打つ。緒形拳さんを立てているのか?生前の川谷さん家を訪れた時、壁に「王将」「緒形拳 川谷拓三 三谷昇」と毛筆書きの半紙が貼ってあった。緒形さんの趣味である書の影響を受け、書き始めてたらしい。坂田三吉の役は緒形さんだったのか。お2人とも亡くなってしまったので、実現は無理になってしまった。それにしても川谷さんは、脇に置かれると怖いぐらいの存在感を発揮する役者さんだ。