12月19日(日)15時。千秋楽。
劇中に出てくる金髪女性「ハル」と「ナツ」は、村上龍の「コインロッカーベイビーズ」に出てくる「キク」と「ハシ」、もしくは黒澤明の名作「隠し砦の三悪人」で千秋実と藤原鎌足が演じた役がモチーフとなっているのだろうか。時代劇の扮装で剣戟エンタテイメントを謳っているようだが、近未来の日本における紛争を描かれているようにも思わせる意欲作だった。
しかし、小劇場の空間での殺陣は迫力はあるのだが、リノリウム等の舞台やアルミ箔を張り付け刀剣などが、ふとした瞬間気になってしまう。まあ、致し方ないが。
その中でも、所作、日舞仕込みの扇子の扱い、名優長門裕之をも思わせる声の抑揚の巧みさで、薬師寺順に目を奪われた。憎々しいほどの悪役を演じきったのだが、石井均仕込みの喜劇性がもう少し出せる場面があれば振り幅が出て、彼の役柄と作品に膨らみが出たのではと惜しまれる。元気に奮闘する順ちゃんを久々に観ることが出来、新宿思い出横丁でひとり乾杯。