2021-10-15

森崎東監督「喜劇 女は男のふるさとヨ」(神保町シアター)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

 映画館が、どよめく程の笑い声に包まれたのを経験したのは、いつぶりだろう。浅草六区にあった名画座で「男はつらいよ」シリーズ、「無責任男」シリーズを、観た以来ではないだろうか。

 森繁久彌がタイトルロール筆頭、主演扱いになってはいるが、余裕の脇に回った芸達者ぶりを見せていた。「駅前シリーズ」「社長シリーズ」という大衆向けの喜劇を当て、「夫婦善哉」で文芸路線に乗り、「屋根の上のヴァイオリン弾き」で演劇界でもトップに踊り出た後だから、これは当然だろう。油がちょっと抜けた感じが、とても良い。カット落ちの笑いを誘う細かい仕草は、DVD化されたら繰り返し観てみたいほどだ。

 旅から旅へと稼ぐ倍賞美津子と、得体の知れない浮遊性を持つ緑魔子がメインとなるのだが、どちらも居場所を求め、探し、ラストに倍賞美津子がマイクロバスで走り去るシーンなどは、どうしても、後の「男はつらいよ」シリーズを重ね合わせてしまう。(共同脚本に山田洋次の名が)

 藤原審爾の原作も読んでみよう。柏原さん!現場からは以上です。

キーワード:


コメント(0)


大倉順憲

ゲストブロガー

大倉順憲


月別アーカイブ