2021-09-05

サム・ペキンパー監督 「ガルシアの首」(DVD)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

およそ30年ぶりに観た。近頃の世間に渦巻く何もかもを、スカッとブッ放す映画が観たいと思ったからだ。すると、意外にスカッとしなかったのだ(良い意味で)。言わずもがなアクションシーンは抜群だ。それと新たに気付いたところは、極度に残酷なカット(娘の指折り折檻、首切断など)の替わりに実景などを差し込んである(DVDで静止画像に出来るようになったせいもあるが)。バイオレンスにも情緒があるンだよ。恥じらいですよ。昨今の見せりゃあ良いってモンじゃないンですよ。アクションも、ウォーレン・オーツ、この撮影時50手前でよくぞやったなあ。もちろん俺には出来ない。彼が演じるベニーは、ただの賞金目的の負け犬ではなく、愛を求めて生きるしかない孤独な男だったんだろう。特に「ガルシアの首」をポンコツ車の助手席に置いて語りかけるシーンなど、『ああ、狂ったのか』と思ったほどだ。それにしてもウォーレン・オーツなんだ。マックイーンじゃダメなんだ。あのいまだに田舎にある『パンチ・二グロ出来ます』と看板を掲げた床屋の親父のような風貌の、ウォーレン・オーツが良いのだ。ポール・ニューマンじゃダメなのだ。ベニーの女も良い。オリビア・ハッせーの出来損ないみたいな感じが良いんだろう。ちょいとくたびれかけたオッパイが良いンだ。ふと、流す涙も良い。あの涙はなかなか出てこない。小泉進次郎の涙より、はるかに良い。なんだあれは。公衆の面前で泣くもんじゃない(あれは『忠誠を誓う』というシルシだったのか)。こんな事を支離滅裂に感じたのも、俺が大人になったせい。いや経年劣化なのかなあ。ゴールデン街の香菜恵さ~ん、首は取っても、あなたに首ったけで~す。(あんまりウマくなかったな)

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大倉順憲

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