25年前に観た時は『漫画家の話なのに、なんだか陰気なドラマだなあ』などと感じたのだが、今こうやって改めて観てみると、1シーンごとの映像と台詞の重さがひしひしと感じられる良い映画だった。それは青春の夢と彷徨、挫折を自分でも体験したからであろう。編集長役が〝ゆきゆきて”原一男監督だったり、手塚治虫役が〝寿歌”北村想なんてのは、ナイスなキャスティング。当時は気が付かなかった。赤塚不二夫役の大森嘉之が良い。連載を獲得した際、雨の横顔、ジンと来た。(それは俺にも同じような思い出があるからだけど)石森章太郎の姉役の女優さん、とてもよろしい。モッくんが、抑えた演技で狂言回しが見事だ。古田新太は、この頃からインチキ臭プンプンだ。まあ、この役柄だから良いのか。40年近く前、西荻窪や吉祥寺の3畳一間でゴロゴロ悶々とした日々が懐かしくなってきて、訪ねてみたくなった。この映画、出来れば出たかったな。市川さん、ありがとうございました。今さらだけどさ。