2020-12-04

山田邦子還暦記念公演 紀伊國屋書店提携公演「 山田邦子の門2020~クニリンピック~」(新宿紀伊國屋ホール)を観て。 このエントリーを含むはてなブックマーク 

12月3日(木)13時半。5月公演予定の作品を延期し、満を持しての本公演。前回のサザンシアター公演の続編。小ネタ満載のストーリー展開の中に、弱小プロレス団体が持つ〝見世物”としての猥雑さや〝興行を打つ”という悲哀に満ちていて見ごたえあり。まだ新しいサザンシアターより、かつては小劇場の殿堂と言われた紀伊国屋ホールの好々爺のような佇まいの方が、見世物小屋としての空気を醸し出し、ソーシャルディスタンスで空席の目立つ観客席もまた、サーカス小屋のマチネ公演を妄想して、見世物感に拍車をかける。ラストに社長役の邦子さんがレスラーに復帰し、“見えない敵”と真摯に戦う姿には、芸歴40年の重みとコロナ渦の世相を背負った丸みを帯びた背中が凛々しくもあり、虚空で無心に遊ぶ幼き子どものようにも見えた。

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大倉順憲

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