伝説の編集者末井昭さんの自伝を映画化。見落としていた作品。主役の柄本佑君が、数多の脇役紹介の狂言回しになっている…と感じた。”おっちゃん”役の島本慶さん、よかったなあ。切なくて、男の哀愁があって。”アラーキー”役の菊地成孔。これも胡散臭い空気感ガッツリ出して◎。俺も30代の頃、2年程エロ本のライターで喰ってたんで、同類相憐れみ、懐かしむ。(1文字2円50銭だったから、”銀玉ライター”と呼んで自嘲していたけどさ)エロの先に何かを見つけ出せればよかったが、俺には一時の食いつなぎでしかなかった。末井さんは、金・女・ギャンブル…その先に何か見えたのだろうか。サックス吹きという表現者が、今の在り方なのだろうか。ラストの女装は、自己の姿からダイナマイト心中した母親の面影が見たかったのではないか。エンディングの末井さんと尾野真千子の歌が、ゲンズブールとバーキンのそれのようで下っ腹に残り、軽めのワインでも呑みたくなった。