救いは無いのか、救いは無いのか、救いは無いのか…と自問自答を求められたような後味。
予想に反して「罪と罰」「贖罪」「家族観」「孤独」、そして全体の構成に関しては意外とサッパリと呑みこめたんだが(俺がヒネクレているせいかも知れないが)。特に「家族観」は、小津が描いていた虚無と孤立の家族像に、一番近いんではなかろうか。そこに救いがあったとすれば、古館寛治が心臓マッサージをする場面だ。人は神ではないのだからして、あの途中休憩とあの順番になるのが納得出来た。青年団、奥深し。筒井真理子のデニーロ的体型改造が満点。カタワモンを演じた真広佳奈にも満点。なかなか出来るもんじゃない。恐るべし女優陣。こういった作家性を前面に出した作品が、話題を席巻する日本映画界になって欲しい。アニメもいいけどさ。