実話をベースにした点では前作の「凶悪」と同じだけど、「凶悪」の方がリリーとピエールのテキトーな感覚での不気味な演技が光っていて、軍配をあげる。young daisというミュージシャンの俳優は初めて知ったけど、これは良い。こういう人を使うのが上手いんだろうな。白石監督は。若松プロ出身だけに、濡れ場の思い切りの良さがかえってイヤラシサを感じさせない。
(椎名香織の目の演技に助演女優賞)綾野剛好演なんだけど、ちょっと頑張り過ぎか。TKOの木下、芸人さんがやっちゃあいけない型にハマった芝居(山口智充と同じ)になって、笑ってしまった。(それが狙いか?)「凶悪」で山田孝之がガラス越しに見る回想シーンのような、「おう~、なるほど」と思わず唸るような場面が欲しかった。ああ、あと「ポチの告白」(監督高橋玄)と見比べてみるか。あれもおもろかったからなあ。