映画やドラマ、バラエティ番組などの打ち上げで「今回は残念なことに…終わってしまいますが…是非、この素晴らしい出演者、素晴らしいスタッフという…同じメンバーで、また新しい形で作品を作りたいと願って…」などと決まり文句のようにヘボプロデューサーが、マヌケな挨拶をする場面を幾度も遭遇したことがある。もちろんPの願いが実現したことは無い(僕の経験上ではだが)。山田洋次監督、よくぞやってくれた。ほぼ「東京家族」と、キャスト・スタッフが同じじゃないか。まあ、「東京家族」は「残念な…」結果ではなかったけど。それに天下の山田洋次がそんなこと考えて集めたわけじゃいだろうけど。本当に、山田さん小津が好きなんだなあ。小津をやりたかったんだろうなあ。あまりにも寅さんという偶像が独り歩きしてしまって、それを追いかけることになってしまったんではなかろうか。タイトルからして、自分自身をパロってるし(こんなタイトル、どこかの大学の映研の自主映画でつけるもんだよ)エンディングが「東京物語」をそのまま使っちゃってるし。こんなの山田さんしか出来ない技だ。何でもないような、よくある話を喜劇仕立てにしちゃうところは唸ってしまう。こういうのが一番むつかしいんだな。個人的には、ポッチャリしてきた夏川結衣の狼狽ぶりに目が留まったのと、鰻屋の出前持ちが神戸浩的な危うさを持っていて秀逸。監督、相変わらず馬鹿がお好きなようで…