ども、演出です。
今回はちょっと自惚れさせて下さい。
ある人に対する自惚れです。
自惚れといいつつ、本人からすれば「全くの見当外れです」と思われるかもしれませんが(笑)
彼女が十夢に入団したのは昨年3月のアートフェスティバルの公演時期。
一見からして大人しそうで、とても役者をやりたいと思うようなタイプには見えませんでした。
どちらかというと「やる方」よりも「観る方」といった感じでした。
ビジュアルは申し分無く、テレビに出演しているアイドルなんかよりも全然可愛いとは思いましたが。
人見知りの彼女は、オイラのようなオラオラ系は苦手らしく、まともに話したのは入団してから一ヶ月以上経過してからでした。
一番最初に飲みに行ったのは、オイラの手書きの台本をパソコンで入力してもらう為、原稿を渡した時ですかね。
いわゆる「個性的な字」を書くオイラの原稿を、彼女が読めるか心配だったので、オイラの前で一通り読んでもらおうと思ったのです。
個室の居酒屋に入り、飲み放題を注文。
店員が去った後に、原稿を取り出しました。
オイラの心配をよそにサクサクと読み進めて行く彼女。
が、
ある行で目線がピタリと止まるとオイラの方に顔を向け、申し訳なさそうに話しかけてきました。
「あの、これは何て読むんですか?」
手書き原稿のある部分を指差す彼女。
オイラは顔を近付け、回答しようとしましたが・・・
オイラ「・・・何だろね、これ?」
いやはや、まさか書いた本人が読めないとは思わなんだ(笑)
仕方ないので他の言葉に変更。
でも、それ以降は特に質問もなく、読み終えてくれました。
彼女は、その容姿や言動から子供っぽいと思われがちですが、意外と「母性本能」に溢れていたりします。
汚な・・・個性的な字を読めるのって、エリア的には「母性本能」のエリアだと思うんですよね。
彼女は甘えるのが苦手な分、そういう所でバランスを取っているのかもしれません。
予定より早く読み終わった為、飲み放題の時間はかなり余っています。
そこでオイラは彼女に質問してみました。
何故劇団に入ったのか?
彼女は言葉を一つ一つ選びながら、過去の自分の思いを語ってくれました。
詳細の理由はここでは書きませんが、オイラが一つだけ今でも覚えている言葉があります。
「変わりたかったんです。」
大人しそうな目の奥で、青い炎がメラメラと燃えているようでした。
この決意は、きっと凄いモチベーションなんだろうなって思いました。
彼女の中ではきっとたくさんの思いがあって、長いこと「チャンス」を探していたんじゃないかと。
そして、十夢という環境に強い期待をしているように感じました。
結構プレッシャーでしたね。
果たして、たまひよ公演第四弾を終えた時、彼女から「十夢に入って良かった」っていう言葉が聞けるのか。
周りからの評価ではなく、自分自身が「変われた」と思えるかどうか。
そんな時間を彼女に提供出来るのかどうか。
彼女が個人練習を希望すればするほど、彼女が上手くなればなるほど、オイラのプレッシャーは強くなるばかりでした。
そういえば、「個人練習」というシステムを作ったのも彼女でしたね。
それまでの十夢は基本的には水曜練習のみ。
本番間近にだけ日曜練習を加えるといった内容でした。
が、
1ミリでも成長(変わりたい)したいと願う彼女は、誰に何を言われるでもなく、自分で考えて、オイラに個人練習をお願いするという行動を起こしました。
彼女は十夢の練習システムを変えたのです。
変わりたいと本気で思っている人って、周りも巻き込んで変わっていくものなんですね。
彼女は前回の芝居ではオイラとそんなに接点のある役では無かったのですが、間違いなくオイラが一番会話したのは彼女でした。
当時の相方のゆきなちゃんや、なみちゃんよりも、たくさん会話したのは彼女でした。
一時期なんて毎週木曜練習してましたからね。
週3で練習して、その内一回はオイラとマンツーマンです。
そりゃね、たくさんの会話もしますよ。
それも、
ただの会話じゃありません。
オイラの芝居に対する考え方や、演出のやり方。
彼女自身のヘビーな話。
濃い内容の会話をたくさんしました。
そんな濃い会話をした彼女が今回のオイラの相方です。
だから、
オイラは自惚れようと思います。
彼女の周りに居る人の中で、
彼女の事を一番理解しているのは、
オイラだと。 ( ゚Д゚)
彼女に言わせれば「んなこたぁ無い」と否定するかもしれませんが、大切なのはそれが真実かどうかでなく、オイラにその自信があるって事です。
それが重要なんです。
彼女の胡瓜好きな所も、
極度に猫舌な所も、
負けん気が強い所も、
超が付くほど寂しがり屋な所も、
真面目な所も、
実はちょっとMっ気がある所も、
お笑いに関しては優しさを無くす所も、
責任感が強い所も、
要所要所で頑固な所も、
酔うと結構大胆になる所も、
不器用だけど様々な事にチャレンジする好奇心旺盛な所も、
甘えるのは嫌いじゃないくせに素直じゃない所も、
ちょっとだけイラストに自信がある所も、
声フェチだという所も、
大人っぽさに憧れているところも、
自分の感情をある程度コントロールできるくらいの精神力をもっている所も、
気を許した相手だと結構無言でも平気な所も、
分かっています。
本当はもっともっと書けるくらい、分かっているのです。
本当に、あと20行くらいは簡単に書けるくらい分かっているのです。
それは、彼女が今回の役を全うするためにオイラに与えてくれた情報です。
役者としての本気度が、彼女は圧倒的に違います。
だもんで、今ではオイラの方が彼女の足を引っ張ってしまっている状況です。
これは本当に申し訳ないと思っています。
この記事は、そんな中、オイラがオイラを取り戻すための記事です。
オイラがもう一度ちゃんと役作りをして、彼女の相方に相応しい役者になるための儀式なのです。
今回の役を演じるにあたり、彼女は彼女で不安だった事でしょう。
とても難しい役ですから。
「自分でいいのだろうか?」とずっと悩んだらしいです。
それでもオイラの演出に耐え、今では彼女の役は彼女以外には考えられないくらいのキャラに育て上げました。
オイラも負けていられません。
彼女の前で言い訳なんか出来る訳がない。
全て、自分の責任でやらなくては。
自惚れさせてくれた、彼女の気持ちに応える為にも!
オイラは彼女の笑顔が大好きです。
普段のクリクリな目が線になるくらい目を細めて笑う笑顔が大好きです。
その笑顔を守る為なら自分の存在など丸ごと提供します。
この気持ちを役でどう表せばよいのでしょうか。
気持ちに言葉が追いつかない状況にモヤモヤします。
オイラはオイラの役を全うし、必ず彼女を笑顔にする。
・・・彼女は覚えているでしょうか?
この芝居をやることが決まり、配役が決まった後、オイラが彼女にした約束を。
オイラは約束は守ります。絶対に。
そして、自信は十分にあります。
正直、練習不足ではありますが、成功するイメージしかありません。
何より、彼女はオイラにモチベーションをくれます。
照れるので、
面と向かっては絶対に言わないけど、
彼女―――めぐみちゃんは、
最高のパートナーです!!
これから12/7の芝居が終わるまでの時間、
オイラの気持ち全部を彼女にあげます。
オイラの全てを彼女に捧げます。
これがオイラの役作りです。