ドキュメンタリー映画と言って良いと思います。今のチベットがどういう状況で、チベット人達がどれほど酷い目にあっているかということを、少年の静かな生活の中に感じていくような内容です。オロという男の子は、一人、インドへ亡命し、いつの日かふるさとへ帰れる日を夢見て、勉強をしているんです。どうして、こんなに小さな子供が、一人で、それほどの苦労を背負わなければならないのか、理解に苦しみます。
どう考えても、中国の侵略戦争です。チベットは、チベット国だったし、独自のチベット語、チベット文化を持っていました。それなのに、すべてを取り上げられ、言葉も中国語を使わされ、文句を一言でも言うようなら、政治犯として逮捕して、刑務所に入れるという、とんでもない状況です。今どき侵略なんて、中国は民族として成長していないんでしょうか。国として、アメリカやヨーロッパと同等に渡り合い、経済大国となっているのに、発展途上国のように隣国を侵略するなんて、唯の蛮族と言われても仕方ありません。
そんな酷い状況下でも、オロも他のチベット人も、現実を受け止め、いつの日かふるさとへ帰れる日を夢見て、子供は知識を付け、中国に対等出来るように頑張っています。彼らは、ただ中国を恨むだけではなく、未来を子供達に託して、良い国を再生させたいと必死で生きています。その姿に、チベット民族の誇りを感じる事が出来ます。
日本も、もっと声を大にして、問題を指摘すれば良いのに。内政干渉と言われようと、国交が上手く行かなくなろうと、言うことは言える国にならない限り、いつまでも、誰も助けられないです。せめて、子供は親と一緒に暮らせるように、なんとか手を尽くしてあげられないんでしょうか。
同じアジアでも、こんなに苦しんでいる子供達がたくさんいるのだということを知り、考えさせられました。こういう問題を取り上げた作品を、たくさんの人に観て欲しいです。苦しんでいる人のことを知り、少しでも何か出来ることを考える。もし、何も出来なくても、しあわせな自分を確認して、感謝したいと思いました。