ども、演出です。
劇団十夢では、団長と演出のオイラを除いて皆役者経験の少ない人達ばかりです。
次に多いのがたか君かな。
それでも結構やっていない期間もあり、5年有るか無いか。
殆どの団員が2年以内です。
で、
もう数年前から何度も言っているのに、
中々信じてもらえない言葉がありまして。
「団長もオイラも、皆と演技力はそんなに変わらないよ。」
別にこれは、「えー!そんな事ありませんよ!」と言ってもらいたいからではなく、本当の事だから言っているのです。
演技力は皆とそれほど変わりません。
泣きの演技だけで言ってしまえば、オイラよりも去年から芝居を始めた女優陣の方がよっぽど上手いです。
(まぁ、それはオイラの演出の賜物なんですけどね。フフッ。)
十夢の役者に求めているのは「演技力」ではなく「伝える力」なので、十夢の役者としての実力は、新人の方が持っていると言えます。
皆が感じている団長やオイラの動きや表現の上手さは、経験から来るものです。
そんなもんは演技力じゃありません。
正確には演技力の一つかもしれませんが、演技の本質じゃありません。
皆だって後数年も役者を続ければ自然と身についている技術です。
じゃあ、何が「違って」いるのか?
新人の役者と、団長やオイラは何が違うのか?
それが演技力じゃないとしたら何が違うのか?
それが、正しく今週の練習で如実に現れたのです。
今週、見上げればチームは久し振りのシーンを数箇所部分稽古しました。
以前は出来ていたシーンが、まぁ、見事にボロボロでした。
テンションも低ければテンポも悪い。
台詞が出ない役者もチラホラ。
久し振りで出来ないのは100歩譲って仕方が無いとしましょう。
ただ、初回の入り方が甘いのは確かです。
劇団に練習に来て、
基礎練習をし、
台本の練習に入る。
この時にテンションを上げておくべきなんです。
基礎練習の「発声」の時にテンションを上げてないから、
いざ部分稽古が始まってもテンションが下がったまま。
役者の皆さんに質問です。
団長やオイラが、テンションやテンポが悪いからと、やり直したことある?
団長もオイラも、必ず1発目から、台詞をミスろうと動きを間違えようと、テンションとテンポだけは「やりきって」いるはずです。
何故なら、
練習から本番を想定しているから
だって、本番に「テンションが低いからやり直します」なんてお客様に言えないでしょ?
新人のほとんどが、毎回の練習で、毎回1発目はやり直しになるパターンが多いです。
テンションが低い。
テンポが悪い。
台詞を覚えていても上記の2つが出来ていなければ「面白くない」んです。
団長やオイラと、新人役者の間にある決定的な違いはこれです。
1回1回・・・特に【初回】、これに挑む心構えが圧倒的に違うんです。
本番を意識するという事は、「目の前」にお客様を想定するという事です。
役者なら、当然、演出です。
演出がお客様なんです。
お客様を楽しませなきゃ。
駄目出しされるのを怖がったりするんじゃなくて、オイラ(お客様)を楽しませなきゃ。
十夢は今、役者一人一人が凄く成長しています。
いろんな事を吸収しようと、オイラから養分をチュウチュウ吸い取ってます。
12月の十夢祭が終わる頃にはオイラはミイラになっている事でしょう。
「お客様を楽しませる」ってのは役者にとって一番最初に考えなければならない事ですよね。
今週は特別公演で上演する、たっし君とあかねちゃんの2人芝居をプレ公演しました。
2人はちゃんとお客様を意識したでしょうか?
緊張は仕方がありません。
でも、緊張は「自分の範疇」です。
自分の範疇の先・・・お客様へ目線を向けることが出来たでしょうか?
これまで練習してきたのは、目の前のお客様の為のはずです。
緊張でそれを忘れてしまっては勿体無い。
この短い期間・少ない練習回数で、2人は本当に凄い芝居を作ったと思います。
伝わる芝居を作れたと思います。
でも、本番に緊張で目的を見失っては本当に勿体無い。
お客様を意識できればもっともっと伝わるはずです。
その為には、日頃の練習から「本番」を意識すること。
まぁ初めて皆の前で通してあれだけのクオリティが出せれば充分でしょう。
オイラも、最初から最後まであんなテンションの芝居を演出するのは初めてです。
今までの十夢の歴史の中でもかなり特殊な芝居であることは確かです。
是非是非、新しい歴史を刻んで欲しいと思います。
たっし君と、あかねちゃんなら、それが出来ると思いますから。
2人が芝居をしている姿を見て、
「あぁ、この台本書いて良かったな」と思いました。
オイラはもう充分です。
満足しました。
今度は11/16(日)、ご来場頂けるお客様に、
「あぁ、見て良かったな」と思わせて欲しいです。
いや、
ある意味、
「見なきゃ良かった」
って感想の方が正解な台本かもしれませんが・・・(笑)