ご無沙汰しております。
スティーヴン・ソダーバーグの『ガールフレンド・エクスペリエンス』と『バブル』(レイトショー)を連チャンで観て来たところです。
オーシャンズ・シリーズなどですっかりハリウッドのヒットメーカーになってしまった印象のソダーバーグだけど、今回、洗練された映像センスはそのまま原点のインディペンデント精神を匂わせる作品作りに立ち返っていて…
『ガールフレンド…』は、高級エスコートの5日間をソダーバーグ自ら最新鋭のデジタルカメラRED ONEを使いドキュメンタリータッチで描き出している。
サーシャ・グレイのためにある映画、と言っていいくらい彼女の存在感、魅力が、この映画の雰囲気を形作っている。
女という生き物のしたたかさ・刹那さ・美しさが、映像の中で永遠の瞬間を生きている(しかもNo.1ポルノスターがNo.1コールガールを演じている)…それだけで充分だ。
いきなり冒頭からしてスタイリッシュ。映像も音もお洒落でテンション上がります。
そして彼女の日常の断片を切り取った映像が淡々と続くのだけど、とにかく彼女の肉体を得て成功した作品であり、その気分を味わうのは淡々としているのに高揚する。
で、『バブル』ですが、これも監督・撮影・編集:スティーヴン・ソダーバーグ。
<オハイオ州の小さな町の人形工場で働くマーサ(ドビー・ドーブライナー)とカイル(ダスティン・アシュリー)。孤独な者同士、何となく友人関係を続ける2人だったが、カイルは新しく従業員となったローズ(ミスティ・ウィルキンス)と親密になり、マーサとの関係が壊れ始める。そんなある日、町で殺人事件が発生し…>
キャストの自宅を使って撮影するという実験的手法が採られており、妙な生々しさがある。人形の部品が映し出されるのと同様、キャストの顔や体もまるで人形のように映し出されたりして、変な気分になってくる。
観続けるうちに、登場人物たち全員が何となく微妙におかしい人たちであることがわかってくるのだが、つまり、人間は人形と違って有機体として動いたり、感情や思い込みを持ったり、生活をしなければいけなかったりするから厄介なのだろう。
見た目は似ているんだけれどねw
つまり、ある種これら2作品とも、主人公の肉体によって作品を超え、こちらに向かってくる力を獲得している…肉体の勝利を実感させられた。
…そんな夜だった。
さて、編集がんばんなくちゃ。