2011-04-27

『六ヶ所人間記』 このエントリーを含むはてなブックマーク 

今回、私が『原発切抜帖』と並んで、
<25年目のチェルノブイリ>の中で特に見たかった作品がこれです。

『六ヶ所村ラプソディー』が記録したのよりももっとずっと前の、
六ヶ所村の人々が記録されています。
そして、広大な見渡すほどの大地。
厳しい気候のこの東北の土地に開拓民として入った人々は、
自然と戦いながら農地を開墾し、作物を作り、魚を獲って暮らしてきた。
そこに突然持ち上がった土地開発の話。
土地買収や意見の食い違いで、
助け合って生きてきたはずの人々が、寸断されてゆく…。

六ヶ所村というのは、元々は点在する部落の集まりだったのですね。
雪に閉ざされて何日も部落から出ていけないなんてこともざらだったようですし、
役場に出生届を出すのも数年後なんてこともあったようです。

核施設の反対運動に負け、悔しさをかみしめる人々の思いは、
『六ヶ所村ラプソディー』でも描かれていますが、
私はこの映画を見始めて数十分で、
自分も、もっともっと一生けんめい生きたい! と思いました。
だって、この映画の中でインタビュアーに向かって答える人々の顔は、
とっても生き生きとしているんだもの。
土地を買収されて少しずつ仲間が減っていく中でも、
自分の話となるとにわかにうれしそうな顔になって活気づく。
そして得意の神楽を披露してくれたり、自分が営んでいる酪農業について説明してくれたりする。
今ではなかなか見られない人なつこい顔にこの作品の中で出会えます。

現在私たちがテレビのニュースで見ている、
取材陣や原発事故の被害者に向かってのらくらした答弁をくり返す、
役所の人間や電力会社の人間とはあまりにも生命力に差があり過ぎる。

この作品の次の上映予定日は4月29日(金)の14:20からで、
これが今回のポレポレ東中野の特集の中での最終上映日となります。
なかなかめったにはかからない映画でしょうから、
ぜひみなさんも、時間の都合をつけて足を運んでみてください。

『六ヶ所人間記』(16ミリ白黒 2時間51分 1985年)
山邨 伸貴 構成・編集・現場録音
倉岡 明子 構成・制作・インタビュー
小田 博 撮影

<25年目のチェルノブイリ>@ポレポレ東中野
http://www.mmjp.or.jp/pole2/

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Reiko.A/東 玲子

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