骰子の眼

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東京都 渋谷区

2014-03-11 16:00


福島県双葉町の今を描く映画『フタバから遠く離れて』第二弾のクラウドファンディングがスタート

避難所や仮設住宅はこの3年でどう変化したのか─MotionGalleryによるドキュメンタリー制作資金調達プロジェクト
福島県双葉町の今を描く映画『フタバから遠く離れて』第二弾のクラウドファンディングがスタート

webDICEは2014年3月11日よりクラウドファンディングサイトMotionGalleryと提携、編集部のキュレーションによる、プロジェクトの特集記事を今後継続的に掲載する。また、MotionGallery内にもwebDICEが推薦するプロジェクトのみを集めたキュレーションページが開設する。

連載第一弾の作品として、『フタバから遠く離れて 第ニ部』の制作資金調達プロジェクトを紹介。今回は舩橋淳監督からのメッセージとプロジェクトの概要を紹介する。

『フタバから遠く離れて 第二部』は、福島第一原発事故により避難を強いられた福島県双葉町についてのドキュメンタリー映画『フタバから遠く離れて』の続編。前作(第一部)は、同町が役場ごと埼玉県加須市の旧騎西高校という廃校の校舎に移転した2011年3月末から9ヶ月間を映像に記録した。原発事故の収束が見えないなか、放置され続ける双葉町民の日常と思いをつぶさに描いている。全国上映、自主上映が続けられ、2014年1月にはDVDが発売。そして、原発事故の悲劇、避難の苦しみを風化させないために、という目的のもと本日3月11日より3月23日まで公式サイトにて期間限定で無料公開されている。
またドイツ・ベルリン国際映画祭を皮切りに各国の映画祭で公開。アメリカでも国内劇場公開とテレビ放映されるまで広がり、ニューヨーク・タイムズ紙など海外メディアでも絶賛された。

今回のプロジェクトでは3,000,000円を目標に、2014年7月9日00:00までクラウドファンディングを行なう。応援にあたっては1,000円から1,000,000円までチケットを選ぶことが可能で、価格に応じて、劇場鑑賞券や特典として劇場公開初日のアフター・パーティー招待や、海外映画祭でのインターナショナル・プレミアのチケット、そして本作の監督トーク付き自主上映上映権など、様々な特典が用意されている。詳細はMotionGalleryのプロジェクト・ページまで。

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『フタバから遠く離れて 第一部』より



舩橋淳監督からのメッセージ
「激動の日々で町民の心はどう変化してゆくのか、
じっくり寄り添い記録してゆきたい」

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いま日本中にある約50の原子力発電所はほとんどが停止しています。原子力発電を使い続けてよいものか、日本中で議論されています。
原子力とともに発展してきた双葉町は、今回の事故で何を失ってしまったのでしょうか?ただ家や土地や財産を失っただけではありません。目に見えない多くのものが消失し、バラバラになっていきました。双葉町民の今の避難生活に、その痛みがひりひりと息づいている。そんな生身の人間の時間に寄り添うことが、『フタバから遠く離れて 第二部』で僕が描きたいと思うことです。
前作以降、撮影を続けて3年も付き合って来た双葉町の皆さん。個人的にもとても親しくなりました。避難所にしょっちゅう通うなかで、ごちそうになったり取材の手配でお世話になることまでもありました。双葉町のみなさんを僕らは決して裏切ることはできない、そう誓っております。そして、この方々の長引く原発避難は、原発の電気を使って来た僕たちみんなの問題だということを忘れたくないと思っています。

だからこそ、この双葉町の映像記録は持続的に続けたい、続けなければならないと考えるのです。

前作のあと、双葉町の避難所や仮設住宅では、長い避難生活で町民の間に不満が多く出始め、町議会と町長が対立し、2013年2月井戸川町長(当時)が辞任に追い込まれました。町長選挙を避難先で行うという異常事態の末、伊澤史朗新町長が当選。異なる町政方針を打ち出し、役場は埼玉から福島県いわき市に再移転、旧騎西高校の避難所は閉鎖されることになりました(2013年末)。故郷は帰還困難区域に指定され、バリケードで施錠されてしまいます。さらに、町に核の汚染土壌を貯める中間貯蔵施設の建設計画が持ち上がってきました。はたして、双葉町は核のゴミ箱になってしまうのでしょうか……?
僕は、こんな激動の日々で町民の心はどう変化してゆくのか、じっくり寄り添い記録してゆきたいと思います。
双葉町の原発避難をしっかりと映像記録し、日本国内、そして世界に発信し、分かち合っていくことは、原発事故の悲劇を二度と繰り返してはならない、と深く感じる体験に必ずや通じるはずです。
そんな映像記録をつくる手助けをしていただけたら、とても嬉しいです。
どうぞぜひよろしくお願いします!




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『フタバから遠く離れて 第一部』より

『フタバから遠く離れて 第二部』とは?

福島第一原発事故により避難を強いられた福島県双葉町についてのドキュメンタリー映画『フタバから遠く離れて』の続編で、今秋、、都内単館劇場で今秋公開予定。前作(第一部)は、同町が役場ごと埼玉県加須市の旧騎西高校という廃校の校舎に移転した直後から9ヶ月間を映像記録したものでした。原発事故がなんとも収束が見えない中、ずっと待たされ続け、放置され続ける双葉町民の日常と思いをつぶさに描いたこの映画は好評を頂き、現在も全国で上映され、1月にはDVDが発売されました。またドイツ・ベルリン国際映画祭を皮切りに各国の映画祭で上映され、アメリカでは劇場公開、テレビ放映されるまで広がりました。ニューヨーク・タイムズ紙など海外メディアでも絶賛されています。
「双葉町の皆さんが故郷に戻る、もしくはどこか安住できる場所に落ち着く日まで撮影を続けよう」と決意した我々は、撮影を続けてきました。旧騎西高校に避難していた住民は、少しずつ減り続け、全国の仮設住宅などに移転し、町のコミュニティが大きく変わりつつあります。
いまだ線量の高い故郷・双葉町に、帰りたくても帰れない。そんな中、次の人生に直面してゆく町民の皆さんの姿を映像記録しつづけ、もう3年となりました。福島の痛み、原発事故の悲劇を忘れないためにも、映画の第二部をまとめあげ、日本中、世界中で上映したいと思います。 今年の秋の国内での一般劇場公開、その後の海外での上映を実現させるため、このサイトを通して皆さんのご支援をお願いすることにしました。

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『フタバから遠く離れて 第一部』より

震災から4年目の双葉町の状況

双葉町の人口は、いま約6400人。原発事故直後、その約1400人が埼玉県の旧騎西高校へ避難しました。残りの町民は福島県内に避難したり、他府県に避難したりと、全国各地に散り散りとなりました。被ばくについての国の安全基準が不十分!と問題視される中、双葉町民は、福島から遠く離れて被ばくを避けて生き続けるのか、やはり故郷に近い場所へと福島県内に戻ってゆくのか、理不尽な選択を迫られました。
前作で中心人物だった井戸川克隆町長(当時)は、長引く避難生活から町民の不満が溜まり、町議会と対立して辞任に追い込まれました。当初の避難区域は再編され、避難が解除される他市町村も出てくる中、双葉町はその96%が帰還困難区域として、いまだ故郷に戻るメドが全く立っていません。
失った故郷に対する賠償は、国と東京電力を相手に少しずつ進められています。しかし、新しく人生を再出発させるには全く不十分な額で、多くの町民がいまだ法廷闘争・交渉中です。つまり、将来の見えない宙ぶらりんの生活を未だ続けているのです。
そんな中、町に核のゴミの中間貯蔵施設を作る計画を、国が持ち込んできました。除染で出た汚染土を貯めるための場所です。故郷を明け渡し、核のゴミ箱にするのかどうか、町に難しい問題が突きつけられています。

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『フタバから遠く離れて 第一部』より

映画の目指すところ

『フタバから遠く離れて 第二部』は、双葉町民の日常に寄り添い、その生の声を日本中、世界中に届けることを目指します。テレビやマスコミでは報道されない原発避難の毎日。それは、我々の想像をはるかに及ばない、喜怒哀楽、様々な表情があります。
ジャーナリズムが言語による情報を伝えるメディアとすれば、映画は言語化できない人の感情と時間の重みを伝えるメディアです。長引く避難生活を、見る観客も一緒に疑似体験することで、原発と一緒に歩んで来た町・双葉町がどんな問題を抱えて来たのか、そして避難所で、仮設住宅でどんな苦しみや喜びを味わっているのかを、ありのまま描きます。

我々みなが便利に使って来た原子力の灯が、想像もできない災禍を生んでしまった。その悲劇を日本中、世界中の人々と共有し、これから核のエネルギーとどう人間は付き合ってゆけば良いのかを考える機会を生む。
それがこの映画の目指すところです。
また、『フタバから遠く離れて 第一部』の劇場公開時、原発避難者、震災被災者の方には無料で見ていただきました。他の地方に避難している双葉町民から、町の様子を伝える映像記録として好評を頂きました。今回もこれを踏襲し、双葉町・双葉郡の避難民の方をつなぐネットワークづくりの一助になればと思います。

(以上、公式資料より)

サポートにあたってのコレクター特典など、詳細はプロジェクト・ページをご確認ください。




舩橋淳監督 プロフィール

1974年大阪生まれ。東京大学教養学部表象文化論分科卒業後、ニューヨークで映画を学ぶ。デビュー作『echoes』(2001年)が、アノネー国際映画祭(仏)で審査員特別賞と観客賞を受賞。第二作『Big River』(2006年、主演:オダギリジョー)は、ベルリン国際映画祭、釜山国際映画祭でプレミア上映。東日本大震災で町全体が避難を余儀なくされた、福島県双葉町とその住民を長期に渡って取材したドキュメンタリー『フタバから遠く離れて』(2012年)は国内外の映画祭で上映。2012年キネマ旬報ベストテン第7位。著書「フタバから遠く離れて 避難所からみた原発と日本社会」も出版される。劇映画『桜並木の満開の下で』では被災地を舞台に物語を展開し、ジャンルを越えて、震災以降の社会をいかに生きるかという問題にアプローチしている。最新作は『小津安二郎・没後50年 隠された視線』。




▼映画『フタバから遠く離れて』予告編1


▼映画『フタバから遠く離れて』予告編2

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