2010-10-03

シングルマン このエントリーを含むはてなブックマーク 

A Single Man

監督:トム・フォード
出演:コリン・ファース、ジュリアン・ムーア、ニコラス・ホルト、マシュー・グッド…
2009年/99分/アメリカ

世界的なファッションデザイナー、トム・フォードの監督デビュー作。原作はクリストファー・イシャーウッドの同名小説。

上映館が少ないせいなのか、前評判がいいのか、好天の週末のせいか、トム・フォードやコリン・ファースが意外と人気者だからか、それともそれとも…と怪しんでしまうくらいバルト9は満員でした。

<舞台はロサンゼルス。1962年11月30日の金曜日、今日も新しい朝がやって来た。しかし、イギリス人の大学教授ジョージ(コリン・ファース)は8カ月前に16年暮らした恋人ジム(マシュー・グッド)が交通事故で突然亡くなって以来、癒えるどころか日に日に深くなる悲しみに苦悩していた。そして、今日こそ自らの手で終わらせようと決意する…>

トム・フォードの美学が詰まった映画。ただただその一言に尽きると思う。

インテリアに調度品、リネン類、ちょっとした食品や文房具の類いに至るまで…もちろんコリン・ファースのまとったシャツの洗練されたダンディズム…その隅々に完璧な美意識が行き渡っている。

ゲイであることが今よりもっとずっと生き辛かった当時、それでも男たちはそのデリケートな関係を育みながら愛に生きていたのだ。

かつては恋人だった時期もあるけど今は親友のチャーリー(ジュリアン・ムーア)を筆頭に、女たちはゴージャスに装えば装うほど愚かで痛々しく、愛を求めてなおその醜態を晒すのだ、おお。

愛の問題を男だ女だゲイだ動物だ…と区別するものではないと常日頃私は考えている。

それでも、何と言うか、ゲイの愛の方がピュアに見えて来るのはどうしてだろう?

…野暮なこと書いてしまいましたw

トム・フォードはやたら自分自身と重ね合わせて「ミドルエイジ・クライシス」みたいなことを言ってたようだけど、彼の場合はただの「ミドルエイジ・クライシス」ではなくて「スーパーリッチ・ミドルエイジ・クライシス」だと思うよ。

つまり普通じゃないってことです(それも才能だ)。ごく平常のトーンで「お金と複数の家と23年来のパートナーと友人を手に入れた」なんて言える人はそういないと思うから。本来、映画はブルジョワジーの道楽だったわけだから、彼のような人物の映画産業への参入はまさに王道でしょう。

これからの活躍も楽しみです。

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中田 文

ゲストブロガー

中田 文

“今、ドキュメンタリーの編集にどっぷり浸かっていて、なかなかチェックできないし、webDICEのブログの仕組みもいまだよくわからないので、ほぼたまに日記状態ですが、どうぞよろしくです。”


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