2009-02-11

シャーマン('96年) このエントリーを含むはてなブックマーク 

ブログ「だめ日記」から
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メゾンエルメスに映画「シャーマン」を観に行った。“騎馬スペクタクル”ジンガロを率いるバルタバスの監督作品。ぎゅうぎゅうの満員だった!

北の収容所で生活を送るドミートリーはある日、水を汲みに行った先で、幾頭もの馬が草を食みにやって来るのを見かける。隊に戻ってこれを同じ部屋のヤクート人の男に告げると、男はドミートリーに脱走を持ちかける。計画を練り、首尾よく2頭の馬を手に入れた二人。しかし男は追手に撃たれてしまう。彼はドミートリーに、私はシャーマンだ、と告げ、息を引き取るのだった…というこの導入だけで既に観ごたえ抜群。

聖画と思いきや、カメラが引くと人の肌に彫りこまれた刺青、という始まりもさることながら、ドミートリーと馬との初めての邂逅、奇妙な笑い方をするヤクート人のシャーマン、ドミートリーの目の光、ドミートリーが出会うすべての人の普通さ加減、氷上で起きること、船。すべてが魅力的で、次に何が起こるのかわくわくしきり。

ただ、バルタバスは本当に大丈夫なの?何か変なことになってない?という疑念も抱かされる。この違和感は、シュワンクマイエルやブラザーズ・クェイやホドロフスキといった一見奇矯な映画を観ても感じたことのない、何か変な後味だった。

と思っていたら、Sと話してみて合点。そうか、バルタバスはいかにも「西洋的」な精霊の捉え方をしているのね。だからどうにも、そういう宗教のようなものにかぶれちゃった人みたいに見えて、心配になってしまったのだ。どうも説明的にすぎるなあとは思っていて、そのおかげで話は分かりやすくて良かったんだけど、捉え方、枠組みの問題だったんですね。バルタバスの本も読んでみたくなった。映画公開から10年以上経った今、バルタバスは何を考えているんだろう。



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mari

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