最初の5分のシーンは観てる人にそれぞれの17歳の頃の闇を思い浮かべさせる画期的シーンなのかも。
信じられないような現実を撮ったドキュメントというのが時折あるけど
この映画は今この瞬間にも、身近に起こっていそうな出来事を写したドキュメンタリーのような物語でした。
私自身、東北の同じような田舎町で10代を過ごしていて雰囲気がよくわかる。
地方にはこのように特に観光名所でもなく、かといって拓けてもいないあんな街がたくさんある。
当然仕事も少なく主人公が小さな頃に離婚した父親のように都会に出てゆく人も多い。
昔に離婚して養育費も満足に払わい夫を恨んで死んだ母。
はるばる東京へ訪ねていっても受け入れてくれない父。
ひもじさからレジを誤魔化し唯一の生活の糧のバイトをクビにしたコンビニの店長などなど。
まわりの大人達は誰も少年に一片のやさしささえみせようとしない。
映画の中で少年は過酷な状況に耐え切れず何度となくむせび泣く。
葬式代のない少年が病院から母の亡骸を盗みだし、ボートにのせ海に流す。
警官の「それは死体遺棄という犯罪だ」という言葉に
「入院費や葬式代を踏み倒すのも犯罪じゃないか、じゃどうしたらいいんですか?」
と問い返す少年は怒りに叫ぶのでなく絶望したように力なくつぶやいていた。
息苦しくなるようなやりきれなさで胸がいっぱいになったが最後の
少年が全編を通してよくみせていた少し左肩のさがったどこかあやういバランスの独特の歩き方でアスファルトの道を歩き出すシーンでなぜかほっとして涙が止まらなかった。