(c) Lace Curtain, Monfort Producciones and Celluloid Dreams Production
【作品解説】
実話に基づく、時代の闇に埋もれた衝撃のスキャンダル。
バーバラ・ベークランド。大富豪の妻となり、幸せを求め続けた一人の女性の鮮烈な人生。
華麗なるベークランド家の仮面が、今はがされる。
トム・ケイリン監督インタビュー:
──以前、監督された『恍惚』もそうでしたが、本作も最後には殺人に至ってしまう“タブー”の愛の物語です。なぜでしょう?
プロデューサーのクリスティーン・ヴァションが、何年も前にナタリー・スティーブン・M・L・アロンソンが書いた原作“Savage Grace”を読むようにくれました。物語の持つ、古典的な悲劇の要素に釘付けになったんです。優美さと暴力性という相反する組合わせを持ち、悲劇的で美しかった。でも映画中では恐ろしいクライマックスとして描かれているバーバラの死は、彼女の物語のほんの一部でしかない。『美しすぎる母』では、まず核心にある謎について考えました。『母親を殺したのは息子アントニーの責任なのか?それとも実質的にはバーバラが、歪んだナルシズムでアントニーに自分を殺すようにしむけたのか?』
──映画は、社会の風潮や人々の意識が絶えず移り変わった不安定な時代を股にかけて壮大に描かれています。その結果、原作とは異なったものになったと思いますか?
脚本家のハワード・A・ロッドマンと素晴らしいコラボレーションをしました。
我々共通の意見は、原作はあまりにも幅広く描かれているので、そのままシンプルに脚色するのは無理だという事でした。ハワードと私はそれぞれ、バーバラの物語の中から主要な出来事を5つ挙げることにした。あとでその結果を突き合わせてみると、ほとんど一致したんです。大局では、我々の問題は何をスクリーンから外すか、そして登場人物たちの人生における顕著なターニング・ポイントを軸に、どのように話を組み立てるかでした。
──バーバラ役にジュリアン・ムーアを起用したのはなぜですか?
トッド・ヘインズが『SAFE』を撮った時、ジュリアンと少しだけ顔を合わせ、後に『エデンより彼方に』の撮影で参加しました。彼女は今の俳優の中でも才能のある一人だし、大変幅広く複雑な演技ができる。彼女なら記憶に残るバーバラを演じ、役に必要な人間臭さや感情的深みを伝えられると直感したんです。
『美しすぎる母』
2008年6月7日(土)より、Bunkamura ル・シネマ他全国ロードショー
http://utsukushisugiru.com/