2011-11-15

映画『スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション』 このエントリーを含むはてなブックマーク 

11年振りのリブート(再起動)。そんなシリーズありえるのかな、と驚いてしまった。『スクリーム』を初めて観たのは確か、二十歳くらいでレンタルビデオ屋で働いてた。往年のホラー映画のウンチクやディスを明け透けに作中に散りばめ、それの裏をかいたり踏襲したりする、なんというかインターネット以前にインターネット的な情報戦の面白さがあった。尚かつ、まったくそれらを知らなくても楽しめる、ホラー・サスペンスの王道でもある。はっきりいって、シナリオとしては金字塔だよね。当時、自分もシナリオを書き始めていた頃だったから、全部バラバラに解体して何度も「何故面白いのか」とチェックしてた。大塚英志が『ダイハード』を解体して講義してるのと同じ要領(笑)

だけど、シリーズも2、3と回を追うごとに無理があり「え〜〜その犯人ズルや〜〜ん」ってのばっかりで、哀しい気持ちにもなったもので。でも『3』の希望に満ちたエンディングも好きだったので、あれから主役であるシドニーが11年も経つにまた襲われるなんて聴いたら、もう観るしかないんだよね。結果はどうあれ。映画観るから彼女を救えるって訳でもないんだけども。

11年経ったシドニーは変わらず美しく、周りを固めるキャラクター達もキャスト変更もなく揃ったのは愛を感じる。そして副題『ネクスト・ジェネレーション』通り、まるで11年前のシドニーたちのように、美少女のトリオがいて、ホラー映画好きなナードたち、ワイルドなボーイフレンドたちが刷新したかのように登場する。『HEROS』クレア役でおなじみのヘイデン・パネッティーアがいたりするんだけど、な〜〜〜〜んか全体的に地味過ぎる。特に次期主役ポジション(シドニーの姪)であるジルのボーイフレンドなんて記号でしかない。その地味さ、記号さは、明らかにオリジナルである『1』のキャラクターたちのコピーであることに気付く。それが演出なのか、記号しか書けなかったのか、最後まで判断出来なかった。と、ここまで書けば勘づく方も多いと思うが、今作は『4』は、自らの『1』をオマージュしている。シリーズで散々過去のホラー映画の引用やパロディをして来た触手を、金字塔となった『1』にまで伸ばす構図は面白い。それでこそ、『スクリーム』シリーズじゃん。

[若干ネタバレ]
本作の醍醐味は、そのオマージュ溢れる展開のその後、それこそが『4』だと言える。もはや、ホラー映画のルール自体を壊しに掛かりそうな危うい、自己破壊的な顛末にどきどきした。個人的には、更にもっと壊して、主役そのものがニュー・ジェネレーションに変わって『5』と『6』が観たかった。ダーティーヒロインが活躍するホラー。襲われる側から、襲う側へ。
って感じで。・・・しかし、噂通り『5』『6』やるのかな。新生代へバトンタッチが行なわれなかった選択が正しかったのか、ちょっと疑問が残る。そう考えると、今作のなかでは馬鹿にされてた『SAW』シリーズだけど、途中で主役交代が頻繁に行なわれるとこが非常に画期的だったよね。主役が死んじゃうっていう。偶然、前述した大塚英志繋がりだと『多重人格探偵サイコ』(漫画)も途中で主役交代が行なわれるんだけど、すごい失速の仕方していて。それと比べても『SAW』すごいわ。あ、『スクリーム』の話してたのに(笑)『スクリーム』は世代交代を拒んだので、それはそれで続きを追ってみたいです。不況の時こそ、こういうホラー観てドキドキしたいよ。

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