1月16日(土)より、渋谷アップリンク、ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町での公開が開始される『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』。「20世紀が“石油戦争”の時代だとしたら、21世紀は“水戦争”の時代になると言われている」というように、なくなってしまっても代替物がある石油と違い、水は、人間を始めとする生き物全ての生死がかかった問題であることを提起している。
映画は、アメリカの各州、ヨーロッパ、アフリカなど世界中で繰り広げられる“水戦争”を紹介。水が共有の資源であることを主張した人々に対する企業の脅し、そして水資源が不足している地域でボトル水により利益を得ていること。この映画を観た後では、ペットボトルの水や大手飲料メーカーの商品に手が伸びなくなるだろう。地球上の有限な淡水の量、海水の淡水化が進まない理由……。また、仮想水として知られる、作物や工業を通して輸出される見えざる水。フェアトレードという名の元で行われる見えざる水の輸出とそれに反対する人々への容赦ない戒め。
水資源が豊富な日本に住んでいると、危機感を持つことは難しいかもしれないが、安全な水を供給し続けている日本の水道技術は高く、世界に貢献できるもののひとつだ。『「水」戦争の世紀』著者のひとりであるモード・バーロウによると、日本は水のマネージメントがとてもうまくいっている国。民営化されていないのは興味深いのだという。カナダも日本と同様WTOの4極の一つでもあり、水が豊富な国の一つでもあるが、この映画に対するリアクションが非常に強かったようだ。カナダでは、水は今確かにあるがいずれアメリカに取られるのではないかという恐怖心を持っている。モード・バーロウは、この日本でも管理をしっかりしていかないとすぐくずれてしまう可能性を指摘している。
“水戦争”のために命を落としてしまう人々がいる一方、この映画には希望もある。映画に登場するライアン・ヘリルジャクは、小学校1年生の時、教師に飲み水がないために死んでゆく人たちがいることを教わって以降、アフリカの村に井戸を作るため、<ライアンの井戸基金>を設立。2百万ドルの寄付金を集め、アフリカの50万近くの人たちに飲み水を提供することのできる、319の井戸を114の郡に作っている。水道事業の民営化をやめる都市も出てきている。「水を買う」という身近なことをきっかけに、水を取り巻く世界の情勢を知ってみてはいかがだろうか。
※サム・ボッゾ監督のインタビューはこちら『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』
2010年1月16日(土)より、渋谷アップリンク、ポレポレ東中野、
ヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国順次公開
撮影・製作・監督・編集:サム・ボッゾ
エグゼクティブ・プロデューサー:マーク・アクバー、サイ・リトビノフ
出演:マルコム・マクダウェル、モード・バーロウ、トニー・クラーク、ウエノア・ホータ、ヴァンダナ・シヴァ、オスカー・オリベラ、ミハル・クラフチーク、ライアン・ヘリルジャク、バージニア・セシェティ、ロバート・グレノン、ヘレン・サラキノス
2008年/アメリカ/90分/ビデオ/カラー/1:1.66/ステレオ/英語、スペイン語、スロバキア語、フランス語
配給:アップリンク
公式サイト
1月16日(土)に、公開の3館で監督舞台挨拶&トークショー開催!
ヒューマントラストシネマ有楽町
サム・ボッゾ監督による舞台挨拶
■時間:11:00~(11:00の回、上映開始前)
■劇場:ヒューマントラストシネマ有楽町
ポレポレ東中野
サム・ボッゾ監督による舞台挨拶
■時間:12:00~(10:30の回、上映終了後)
■劇場:ポレポレ東中野
渋谷アップリンク
サム・ボッゾ監督にトークショー
■時間:14:00~(12:30の回、上映終了後)
■劇場:渋谷アップリンク<
※トークショーは60分程度行います。
※予約不要。当日は11:30より整理券を配布します。