今年の東京国際映画祭は(もw)出遅れてしまって、今のところこの作品と昨夜の『ゲスト』の2本を観ることができました。
“Thorn in the heart”
監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:スゼット・ゴンドリー、ジャン=イヴ・ゴンドリー、ミシェル・ゴンドリー
2009年/83分/フランス
独特のセンスで個性的な作品を発表し続けるミシェル・ゴンドリー監督が、自分の叔母にキャメラを向けたプライベートなドキュメンタリー作品。
ゴンドリー家の人たちって似てるんだ…って当然なんだけど、ミシェル・ゴンドリーと主人公の叔母(スゼット・ゴンドリー)はとても似ている。
この叔母がすごく素敵な人で、フランスの田舎町の学校で教師をしながら数々の悩みや困難を乗り切って来た強い女性。その傍らでやさしい表情のミシェル(って呼ばせてくださいw)がくつろぎモードで映っていて…何だか魅力的なのだ。
少年の頃の自分に戻って、映画作りを楽しんでいるみたいにも見えた。
実際、過去のスーパー8で撮られた映像などが随所に散りばめられていて、ノスタルジックな雰囲気に彩られているし、つなぎで使われる鉄道模型も素朴な味わいに溢れている。
それに…ドキュメンタリー作品の中でも彼らしいセンスがちゃんと発揮されていて、それにも「うん、うん」と頷かされた。
うわべではごく普通に見える家庭でも他人に言えない苦悩やドラマがあるように、ミシェルの親族の人たちの心にも様々な葛藤が渦巻いている。
自分たちの身近で空気のように存在し、呼吸のように繰り返される日常(時には発作が起きることもある)の襞を見つめることで、世界につながることができる…その確信を深める時間を過ごせるのは、確かに尊い経験に違いない。