増田俊樹監督最新作「沈黙の隣人」
某インタビューにて。
井川:フリーライターの井川と申します。本日はよろしくお願いします。
まずは、監督の増田さんにお伺いします。
今回チェリーレッド追悼上映と銘打ってますが、まずはそのチェリーレッド追悼映画を制作するに至った経緯みたいなものをお話しいただけますか?
増田:まず、ムーンストーンを立ち上げて様々なイベントを手がけていた時、チェリーさんにいろいろ手伝って頂いて、そこからのつきいあいになります。
チェリーさんは昨年永眠されましたが、自分が監督した「トウキョウ 守護天使」に際し制作協力していただき、出演もしていただきました。本当に映画を愛したチェリーさんの映画に対する思いを引き継ぐべく、今回この映画を撮りました。
井川:近藤さんは?
近藤:僕がチェリーレッドさんと初めてお会いしたのは昨年の秋で、とある映画での初日上映後、皆で食事をした時でした。結局、それが最初で最後となったのですが…。恐らく今回の映画の中でチェリーさんと出会った最後の関係者が僕だと思います…。そういう意味で凄く因縁みたいなものを感じます。
井川:昨年に引き続き「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」に出品されるわけですが、この映画祭に対する思いをお聞かせ頂けますか?
増田:黄金咲ちひろと共に三回目の夕張となるわけですが、今回はうちの主力俳優の近藤善揮と、新人女優である円美穂のプロモーションを兼ねての夕張入りとなります。皆様、近藤と円をよろしくお願いします。
笑い
近藤:監督ありがとうございます。映画祭に参加される皆様、近藤です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
笑い
増田:ゆうばりファンタでは有名無名に関係なく様々な出会いがあります。海外からも多くの映画関係者が訪れます。そんな出会いを大切にして行きたいと私は考えております。
井川:ゆうばりファンタ上映後、この作品はどういった形で上映展開されて行くのでしょうか?
増田:まずはゆうばりファンタでの反応を見てみたい。展開はそこからだと思います。チェリーさんは音楽もこよなく愛した人でした。チェリーさんは決して金儲けの為にバンドマンをやっていたわけではなく純粋に音楽が好きだった。そういったチェリーさんのシンプルで楽観的な精神を受け継ぎ、今後の展開も考えて行きたいと思っております。
近藤:本当に同感ですね。僕も小劇場から俳優としての産声を上げました。掛け値なしの勝負をしてみたい。そんなふうに思いますね。でも本音では劇場公開されたら最高ですよね…。
井川:それでは、今回の映画の見所みたいなものをお聞かせいただければと思います。
増田:今回はキャストもさることながら、スタッフにおいてもほとんどその人間の等身大のスタンスで関わってもらいました。特に出演者に関しては、その俳優のアイディンティティや実存を反映した役を演じてもらったりしました。俳優それぞれの個性を越えた何かを感じてもらえるとありがたいです。
近藤:特にこの半年間の、増田監督と関わった男の友情みたいなものを、この映画を通じて感じていただければと思います。
増田:その通りだと思います。近藤君は、制作プロデューサーとして様々なパートで僕をフォローしてくれました。俳優との掛け持ちで本当に大変な苦労を味合わせてしまいましたが、いつも現場で笑顔を忘れませんでした。
井川:最後に監督にお伺いします。監督にとって映画とは何ですか?
増田:前作「おやすみアンモナイト」の劇場公開を通じて感じたことなんですが、興行的な損得勘定よりも、観て頂いた方が何を感じたかに興味が集約されるようになりました。もちろんこの考えは、プロデューサーとして映画に関わった場合は失格なんでしょうが、そんな映画をこれからも創って行きたいですし、必ずや創ります。
井川:本日はお忙しい中、ありがとうございました。ゆうばりファンタでの成功を祈っております。
増田:井川さん、ありがとうございました。
近藤:劇中音楽を今回は井川さんのレーベルから提供していただいたんですよね。僕も俳優としての自分は勿論ですが、作家、詩人としての側面も持っています。映画というのは総合芸術であり、僕はこれから自分のいろんな可能性を映画に盛り込んで行きたいと考えておりますし、本編一本一本が男の勝負の場だと、そういう信念の下で俳優業に勤しんでおります。本日はありがとうございました。