骰子の眼

cinema

東京都 新宿区

2015-07-04 21:45


映画祭スタッフがセレクト、第24回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭の注目作

『GIRLS』デジリー・アッカヴァンの監督作『ハンパな私じゃダメかしら?』ほか観るべき作品はこれ!
映画祭スタッフがセレクト、第24回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭の注目作
『ハンパな私じゃダメかしら?』より

1992年より開催され、今年で24回目を迎える東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が7月11日(土)よりシネマート新宿、そして7月17日(金)よりスパイラルホールにて開催される。

映画祭広報の樋口康さんは「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭は、レズビアンとゲイだけでなく、トランスジェンダー、バイセクシュアルなど、様々なジェンダーやセクシュアリティをテーマに様々な作品を上映してきました。今年は、例年のように、カンヌ・ベルリン・サンダンス等の各国際映画祭へ出品された話題作が出そろっているほか、特にアジア・日本映画が非常に充実しています」と語る。

3月31日に東京都渋谷区でパートナーシップ条例が成立、6月26日にアメリカ連邦最高裁判所が全米50州で同性婚を合憲とする判決をくだすなど、国内外でLGBTを取り巻く環境が変化している今年の上映作品のテーマについて、樋口さんは「年々強まっている傾向かと思いますが、セクシュアリティをひとつに絞った作品というよりは、様々なセクシュアリティや、生きる環境・立場が絡みあった、より現実社会に近い状況で描かれた作品が多いように思われます。より多様な社会になっていることを反映しているのかもしれません」と特徴を挙げている。

今回webDICEでは、プログラミング・スタッフのレコメンドにより7つのプログラムをピックアップして紹介する。




日本初上映

『ハンパな私じゃダメかしら?』
7月17日(金) 21:20~シネマート新宿
7月19日(日) 11:30~スパイラルホール

映画『ハンパな私じゃダメかしら?』より

英題:Appropriate Behavior
監督:デジリー・アッカヴァン
2014年/UK/86分/英語、ペルシャ語

シリーンはイラン系一家の自慢の娘で、ブルックリン在住のヒップスターで、意識の高いバイセクシュアル……になろうとするも、すべてがハンパな20代 女子。恋人のマキシーンとは別れ、家族にはカムアウトできず、子供向け映画教室の講師業は苦労ばかり。ああ、どうして人生こうなった? 『GIRLS/ガールズ』に出演中のデジリー・アッカヴァンが主演・監督を務めるオフビートなロマンティック・コメディ。2014年サンダンス映画祭出品作。




『太陽を失って』
7月19日(日) 18:15~スパイラルホール

映画『太陽を失って』より

英題:In the Absence of the Sun (原題:Selamat Pagi,Malam)
監督:ルッキー・クスワンディ
2014年/インドネシア/94分/インドネシア語

32歳のギアは長年のニューヨーク生活を終えて故郷のジャカルタに帰国したばかり。同性愛者を受け入れないこの街に失望して留学したギアだったが、ニュー ヨークで恋人同士だったナオミと再会し、かつての希望に満ちていた日々を取り戻そうとする。傷つきながらも愛を求める20代、30代、40代のヒロイン3 人の一夜を描いた群像劇。巨大な“コンクリート・ジャングル”ジャカルタが、彼女たちを時に冷たく、時にやさしく包み込む。




日本初上映

『スターライトの伝説』
7月13日(月) 21:20~シネマート新宿
7月17日(金) 18:30~スパイラルホール

映画『スターライトの伝説』より

英題:We Came to Sweat
監督:ケイト・クナス&サーシャ・ウォーツェル
2014年/アメリカ/70分/英語

人種差別、同性愛者差別が激しかった1962年、ゲイの黒人マッキー・ハリスにより、ブルックリンに「スターライト・ラウンジ」がオープン。その後起こった1969年のストーンウォールの反乱を機にゲイ権利活動は盛り上がりを見せるが、黒人達の声はほとんど反映されなかった。彼らにとってビレッジにある白人ばかりのゲイ・バーは居心地が悪かったが、自分たちの地元にあるスターライトは安心できる避難所だった。50年後、都市再開発の波が打ち寄せ、地域の店主たちは立ち退きを迫られる。歴史的・文化的に価値あるスターライトの存続を願い、仲間が立ち上がるが…。公民権運動、ディスコミュージックの栄華、そしてエイズ禍を見届けた伝説のゲイバーの半世紀をひもとくドキュメンタリー。




日本初上映

『ザ・サークル』
7月12日(日) 21:20~シネマート新宿
7月20日(月) 11:20~スパイラルホール

映画『ザ・サークル』より

英題:The Circle (原題:Der Kreis)
監督:シュテファン・ハウプト
2014年/スイス/102分/スイスドイツ語・ドイツ語・フランス語

スイスでは同性愛は違法ではなかったため、週末になると周辺国から同性愛者達が多く集まるようになり、1950年代のチューリッヒは、ゲイタウンとなっていた。そのチューリッヒで教師をしているエルンストはゲイ雑誌『ザ・サークル』を発刊する地下組織に足を踏み入れる。組織のパーティーで女装パフォーマンスをする美青年ロビと一瞬で恋に落ちるエルンスト。しかし『ザ・サークル』を押さえ込もうとする政府の手はすぐそこまで迫っていた…。現在のエルンストとロビ本人が当時を振り返るドキュメンタリーと1950年代の「ザ・サークル」を巡るドラマで構成されるドキュドラマ作品。本作は、2014年ベルリン国際映画祭テディ賞(ドキュメンタリー部門)受賞し、2015年アカデミー賞外国語映画賞スイス代表作品となった。




『夜間飛行』
7月18日(土) 13:55~スパイラルホール
7月19日(日) 20:25~スパイラルホール

映画『夜間飛行』より

英題:Night Flight (原題:야간비행)
監督:イ=ソン・ヒイル
2014年/韓国語/134分/韓国

中学までは親友同士だったヨンジュ、ギテク、ギウンの3人であったが、高校に進学すると、ギウンはギテクをいじめるグループのボスになり、3人の関係性が歪んでいく。優等生のヨンジュは、問題児となったギウンに戸惑いながらも友情を取り戻そうとするが、ギテクからは拒絶される。一方で、自身のセクシュアリティに悩みつつ、閉店した「夜間飛行」というゲイバーでゲイ友と語り合うことでやっと息抜きができるヨンジュ。 『後悔なんてしない』(第17回当映画祭上映作品。2008年一般公開)のイ=ソン・ヒイル監督が、韓国の厳しい競争社会を背景に10代の若者たちの孤独を繊細に描いた作品。主演の二人は監督に見出され新人。 2014年ベルリン国際映画祭パノラマ部門出品作。




『あかぎれ/Starting Over』
7月18日(土) 18:35~スパイラルホール

※本プログラムは、『あかぎれ』、『Starting Over』の順で上映致します。監督・出演者による舞台挨拶を予定しています。(都合により登壇者の変更・中止になる場合があります)

レズビアンが主人公の『Starting Over』と、バイセクシュアルが主人公の『あかぎれ』を併映する。どちらの作品も女性として生を享けた思春期の少女を追った物語で、恋人や母親との関係に悩みながら自分と向き合う様を描いた秀作。

『Starting Over』

映画『Starting Over』より

東京の片隅で暮らす19歳の奈々。信じられる相手は血で繋がった自分の母親と、同級生で同性の恋人・真凛だけだった。奈々は愛を求めて二人にぶつかるが、人生は彼女に愛を与えてはくれない。悩み、苦しみながら本当の愛の意味を探し始める……。
東京国際映画祭や、大阪アジアン映画祭でも絶賛された本作。主演の秋月三佳が、撮影中に恋人役・遠藤新菜を本当に好きになるほど入れ込んだ演技は一見の価値あり! 渡辺真起子、渋川清彦などの豪華共演陣も必見! 男性である西原監督の元彼女が、“女性の彼女”を連れてカミングアウトしてきたことが製作のきっかけになっている。

『あかぎれ』

映画『あかぎれ』より

男と体を重ねつつも、年上の女性ジュンとも付き合っている女子高生のサツキ。家に帰ると、女性と付き合っていることを咎める母親が待っている。自分にとってはごく自然な人を好きになるという行為が、一番身近な存在の母親にまで“おかしなこと”をしていると思われる孤独。バイセクシュアルである自分が男女のどっちに振れるかは、自分自身を決め切れないで“揺れている”本人にも分からない……。
昨年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で、記録的超満員となった『カミングアウト』に続く、犬童監督の最新作!




『レインボー・リール・コンペティション』
7月20日(月・祝) 16:10~スパイラルホール

海外のセクシュアル・マイノリティ映画同様、邦画も新しい視点で製作された作品が続々集結。決して恵まれているとはいえない環境下でも、熱い思いで創り上げたインディペンデントの映像作家たちのパワーを感じて欲しい。

『leave us alone』

映画『leave us alone』より

目撃した知り合いのゲイカップルを馬鹿にする春樹。悪気は無いが生理的にゲイを気持ち悪いと思っている典型的なノンケだ。そんな時、大親友の近藤にゲイだと カミングアウトされ、動揺する春樹は……。ノンケを主人公に据えながら、差別されるゲイの姿を見せるテクニックが見事。

監督:濱崎藍
2015年/日本/34分/日本語


『娘さんを僕にください』

映画『娘さんを僕にください』より

「なんで純子は俺の身体は女なのに、普通に接してくれるの?」 FtMのルイには、純子という恋人がいる。ある日、純子はルイを両親に紹介するために実家に帰るのだが……。15分という短い尺の中で、テンポよくどんでん返しが起きる、抱腹絶倒のコメディ。

監督:藤本裕貴
2015年/日本/15分/日本語


『ファントム・ジェニー』

映画『ファントム・ジェニー』より

MtFの美都は、タイで性別適合手術を受け帰国した後、既に無いはずのペニスが勃起している感覚に悩まされていた。FtMの彼氏・志郎にもそのことは言えなかっ たのだが……。主人公の悩みに加え、それを乗り越えようとする際の斬新なベッドシーンにも注目。監督は、映画『思春期ごっこ』などの脚本家として知られ、最近は監督としても注目されるマキタカズオミ。

監督:マキタカズオミ
2015年/日本/29分/日本語、タイ語


『My own void』

映画『My own void』より

昨年10月に開催された、松山昂史パフォーマンス アート“Categolibidorize”の先行ミュージッククリップとして製作された本作。監督自身とともに、名古屋の草分け的ドラァグクイーン、ア ンジェリカも出演。日本国内のほか、タイのバンコクやフィンランドでも撮影された。衝撃的で中毒性のある独特の世界観に酔いしれて。

監督:松山昂史
2014年/日本/7分/英語


『私は渦の底から』

映画『私は渦の底から』より

同性の親友に想いを寄せる希子。叶わぬ恋だと、彼女から距離を置くことにするが、恋人を紹介され、希子はある決意をする。「マイノリティーに屈しないでほしいという思いでつくりました」という監督からのメッセージは、あなたの心にもきっと届くはず!福岡インディペンデント映画祭でレインボー賞を受賞した本作 が、いよいよ東京国際レズビアン&ゲイ映画祭に登場する!

監督:野本梢
2015年/日本/27分/日本語




第24回東京国際レズビアン & ゲイ映画祭
2015年7月11日(土)~17日(金)シネマート新宿
2015年7月17日(金)~20日(月・祝)スパイラルホール

主催:東京国際レズビアン&ゲイ映画祭運営委員会

公式サイト:http://tokyo-lgff.org/2015/
公式Facebook:https://www.facebook.com/TokyoLGFF
公式Twitter:https://twitter.com/TokyoLGFF

▼映画『ハンパな私じゃダメかしら?』予告編

▼映画『太陽を失って』予告編

▼映画『スターライトの伝説』予告編

▼映画『ザ・サークル』予告編

▼映画『夜間飛行』予告編

▼映画『leave us alone』予告編

▼映画『ファントム・ジェニー』予告編

▼映画『My own void』予告編

▼映画『私は渦の底から』予告編

▼映画『あかぎれ』予告編

▼映画『Starting Over』予告編

キーワード:

LGBT / 映画祭


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