4月に高田馬場のカフェで作品を展示していたボブ・シェイブ。語学留学として日本にやってきたが、彼がなりたいのは世界的アーティスト。
そこに飾られていたのは「クエスト」と題されたシリーズで、古代エジプト風の絵やアマゾン川でワニと人間が格闘している図、そして手作りの額。
頭のお医者さんに行ったほうがよさそうな陳列物には不思議な魅力があったが、「人類がクエスト=旅をするのは、趣味や嗜好ではなく、それが人類の宿命だからだ」というボブの訴えには心打たれた。作品にはウケたが、同時にボブのシリアスな姿勢には感銘を受けたのだ。作品にあふれるユーモアの内側には、芸術のありかたを根本から問い正そうとする若き作家の確信的な野望があった。
こうして私はボブを発見したが、数日後、ボブが卒業したテンプル大学タイラー美術学校から、The Edith Weil Hecht Memorial Awardを授与されるというニュースが入った。私は大学よりも一足先にボブの才能を認めたことを、ひそかな自身の自慢としたい。
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