2009-11-11

みんなにとっての「あの人」そして痛々しいほどのリアル このエントリーを含むはてなブックマーク 

室内広がる、三角形の舞台 上空には橋のように浮かんだ空間がある。そしてその2つの世界を結ぶ、一本の柱。これからどんな物語が繰り広げられるのか。そんなワクワク感を充分に呼び起こしてくれる舞台装置だ。

墓参りをする不仲の夫婦、ミュージカル特訓中のホームレス集団、彼らを束ねる自称ドクター、運命の人を探す男とビラを撒く男、鎖に繋がれた母と義理の娘・・・ミュージカル特訓中のホームレス集団に飛び込んでいく少女が、物語の中の断片的な要素の接点としてリアルに浮かび上がってくる。

冒頭の墓参りのシーンの設定が面白い。空中に浮かぶ墓。「見晴らしがいい」夫がそう言うが、そりゃそうだろう!演劇的なわざとらしさは、ない。

それぞれ展開する人間模様が、舞台上のあちらこちらで徐々に繋がりをみせていく様は舞台演劇の醍醐味のひとつであるが、その中でも「どうぶつ」というキーワードで変容していく彼らの関係性が興味深い。

そこでモチーフとなっている「どうぶつ」は、「あなた犬派?私、猫派」というような生易しいものではなく、「どうぶつと人間ってどう違うんだろう」というシンプルな疑問がわいてしまいそうな、研ぎ澄まされたもののような気がする。そしてみんな、「あの人」を探すんだ。舞台の上でも、そして現実の世界でも。永遠に捜し求める「あの人」の世界がそこにある。

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c-yako

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