2015-02-04

確かに、残虐だとは思うけど、 このエントリーを含むはてなブックマーク 

特にイスラム国に限って、卑劣だとか狡猾だとかは感じない。
暴力に訴えることになった時点で、誰でも同じ。
それも人間の属性だし、
卑劣っていやあ、事件がここまでむごたらしい結果に終わってから、
イスラム国と交渉する気はまったくなかった(身代金も用意してなかった)だの、
後藤さんには渡航前にシリアに入らないよう3度も勧告した(のに勝手に行っちゃった)、
とか言い出す日本政府のほうがよっぽど卑劣で狡猾でしょう。
いや、おそらくどこの政府も、一般国民よりははるかに狡猾だろうが。

しかし、メディアはあれ以来、イスラム国の残酷さを言い立て、
特にNHKは、湯川さんの殺害映像が流された翌朝には、
ニュースの中でゲスト解説者に、こういう時にはかえって騒ぎ立てちゃいけない、とか妙なことを言わせたと思ったら、
その晩の8時45分から始まるニュースでは、それまでと違ってこの人質事件をトップニュースから下ろし、
その後の数日間は事件が進展しないのをいいことに、同様にほかのニュースの後回しにしていたのに、
2月1日に後藤さんも殺害されたのがはっきりした後は、
今度はまたトップ扱いに戻して、その代わりにテロ集団の残酷さをとりわけ強調し、
折りしもその晩放映の予定されていたNスペの『イスラム国』でも、
彼らのことを「残虐で卑劣きわまりない」と形容して
(いや、残虐だけどね)、
発端がイラク戦争であることは取り上げたものの、
アメリカにその点では責めは負わさず、
最後は、「これからは国際社会が一致団結してテロに立ち向かわねばなりません」で締めくくる始末。

そして、それ以降は、ニュースの中で有志連合の軍事作戦をやたら宣伝するかのような報道をし、
国民には、「日本人もこれからは国際テロへの自覚が求められる」と、自己責任を押しつける。

NHKのすることに今さらいちいち目くじら立ててもしょうがない、と言う
メディア・リテラシーの高い人たちもいるでしょうが、
世の中には信じられないほど、物事を鵜呑みにして、丸ごと信じ込む純朴な人たちがいるものだし、
私もNHKで育ったその純朴な一人として、こういうことがとっても残念でならない。

この後はまた、シリアでジャーナリズムに殉じた山本美香さんの時と同じように、
きっとクロ現で後藤さんを取り上げるんでしょう。

この悲惨な事件にはなにかと裏をにおわせるところも多く、
真実がどうであろうと、湯川さんのみならず後藤さんをも見殺しにしておきながら、
今度はそれをまた利用して、国民挙げてのテロとの対決気分を盛り上げようとでもするような今の報道のあり方が、
卑劣で、不快で、悲しいというより、まさに陳腐でしかない。

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Reiko.A/東 玲子

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“human/cat also known as Nyanko A 人間/ねこ。またの名をにゃんこA”


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