二番手に登場するのは、SEIDO + クリタチカコによるENGKANTS(エンカンツ)です。
SEIDOさんは、このJIZAIKANという、本来は即興表現者たちのための企画の制作者でもあり、
かつては私が加わっていたMERZBOWというノイズユニットに、
主にパフォーマーとして参加したことも何度かあって、
古いつき合いと言えば古いのですけれど、
対するクリタチカコさんのほうはダンサーで、会場ともなるStudio80の運営者でもあって、
こちらも比較的以前からの知り合いのうえ、
実は私がダンスに転んだ、というか目覚めた、というか、思い出した、というか再発見したのは、
ある時、クリタさんからお知らせをもらって、
彼女の出演する、黒沢美香&ダンサーズの『偶然の果実』を見に横浜の大倉山記念館に行ったからなのでした。
その時のクリタさんはバッグを前にステージに突っ立ち、ただ長いこと無表情でいた……
(その後、ムチぶるいが始まったんだったか)。
後はステージの上では徐々に震え出す人がいたり、だんだんに笑い出す人がいたり。
ミュージカルでも始まるのかと思い込んでいた私は(かなり、アホですが)唖然とした。
若い頃には確かに田中泯とか笠井叡とか見に行ったことがあるし、
いわゆる一般の人が通念として持っているダンスとは違うダンスというものが、
表現ジャンルとしてあることは知っていたはずなのに、
なぜか長いことそれが視界から脱け落ちていたのに、その時私は気がついたのでした。
記念館に集結した人々を見て、あっ、そういやこういうのってあったよね、と思い出した私は
(なんで、それまで忘れていたのか)、
その後、だんだんに自分のやることに、体で表現していく部分が増していく結果となったのでした。
そういう意味では、あの時クリタさんからお知らせをもらっていなかったら、
私は自分に流れ込んでいる星のエネルギーに気がつくのがもう少し遅れていたかも知れません。
それはさておき、そういったパフォーマンス寄り、しかも即興表現が主体の二人の、
これは新しい非・即興演奏ユニットにしてアシッドフォーク・グループですので、
私はまだリハの段階の音しか聞かせてもらっていないのですが、
二人は二十年近く前からF.D.C.(Flexbile Dance Circuit)というダンスユニットを二人で組んでやっているパートナーどうしなので、
さすが初の試みとは言っても、息の合ったものがあります。
SEIDOさんが主にギターと歌で、クリタさんが声やさまざまなものでそこに加わっていく感じ。
SEIDOさんの詩は私のこれまでに知り得る限りではシュールな味わいがあり、
たいてい、人間が人間の枠からはずれてゆく。
かと言って、集合的な無意識に還る心地よさを描くというのではなく、
やっぱり解体の段階を楽しみ、別のものと別のものとをつなぎ合わせてふたたび組み立て、またほぐしてみる、といったような、どこか実験的で遊戯的な感じがあります。
歌詞の引用はやめておきましょう。
ここ、と言って切り取りにくい詩でもあるし、本来はまず「歌」として聞いてもらいたいものだから。
あ、でもひとつだけ、
「火事場のバカ力」はわかるのだけれど、
歌で歌われている「火事場の神経」というのはどういうものなのかな、というのが気になっています。
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Reiko.A presents 第7回JIZAIKAN「歌と、ギターと、言葉」
12月22日(日)at 蒲田Studio80
当日の詳細についてはこちら。
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