2013-12-14

「歌と、ギターと、言葉」5、Kanaboon このエントリーを含むはてなブックマーク 

さて、最後に登場していただく予定なのはKanaboonさん。

Kanaboonさんを初めて拝見したのはやはり3、4年前で、
その渋い歌声とたたずまいに魅了され、
「にぎやかな風」で私自身が小さな企画をした時に、すでに一度ご出演いただいたこともあります。

ヴィンテージギターを抱えて、ブルースだのトラッドだのといった、さまざまなルーツミュージックを歌います。

私などはまず手をつけることのない領域なので、
初めてその歌を聞いた時には、ほとんど知らないものばかりだったのですけど、
中にひとつ、特に気に入った歌があって、後で彼女になんという歌か尋ねました。
そうしたら、それは、

『Baby Won't You Please Come Home』

というジャズのスタンダードだったのですが、
その時、Kanaboonさんにこの歌についてちゃんと説明してもらったはずなのに、
なぜか私は正確にはなんと聞いたのかを忘れてしまい、
ただ、頭の中に残ったのは『幸せの黄色いリボン』のイメージだけでした。

木いっぱいに咲く花のようにたくさんの黄色いリボン……。
やっぱり、どこまでいっても頭の中が少女趣味と言われるもののようです。
しかし昔は、『幸せの黄色いリボン』など、なんて回りくどい話だろう、と思っていたはずなのに……。

それはともかく、これはどうやら出ていった恋人の帰りを待ち侘びる歌らしく、
改めていろんな人が歌うのを聞いてみると、
おもしろいことに、女が歌う時には主語が「あたしは(Mama)」で、男が歌う時には「おいらは(Daddy)」になっている。
それこそが誰にでも歌い継がれていくルーツミュージックというものなのかな、と思いました。

歌は歌われるその時に、その人になってしまう。
その人のもの、というよりもその人そのものになる。
それがカバー曲を聞く時のおもしろさだし、歌う時のおもしろさでもありますね。

で、Kanaboonさんがその時になんと説明したのかは忘れてしまったのですが、
もし私の記憶に間違いがなければ、
あの時、彼女は
「帰ってこないのを知りながら歌っているんでしょうね」
と言ったような気がするのです。

これはほんとに私の記憶違いかも知れないし、
私が勝手に抱いている彼女のイメージと混ざってしまったのかも知れない
(なにしろ、記憶があいまいなのだから)。
でも、なにかそんなところにひとつのKanaboonさんらしさを感じるような気がします。
秘めた情念というか、見せ切らない女心というか……。
だから、その、見せ切らないところが彼女の見せ方なんですが。

そういう意味では、この間liveを見に行った時にステージで歌ってくれた『竹田の子守唄』にも、ちょっと似たようなものを感じました(アルバム収録版はまた少し違います)。
『竹田の子守唄』はもちろん恋の歌ではありませんが、私も大好きで、
かつては(たぶん、高校生ぐらいの頃)、家の居間でよく歌っていた。
とは言っても、私の場合はフォークグループの赤い鳥のレコードをかけながら、赤い鳥といっしょにですが。

この、Kanaboonさんのレパートリーに新しく加わったらしい『竹田の子守唄』は、
赤い鳥ヴァージョンでありながら、当然のことですが赤い鳥とはずい分違います。
やっぱりKanaboonさんの場合は、そのいぶし銀のような声がまず決め手ですかね。

ついでに言っておくと、
子守唄には子を寝かしつけるためのやすらかな歌と、なかなか寝ない子に恨み言を言う悲しい歌との二種類があって、
悲しい歌のほうは厳密には「守子唄」と呼ぶべきで、『竹田の子守唄』はこちらに分類される、というようなことが書いてあるのを見かけましたが、
私はむしろ、そもそも子守唄というものは、
たいていは寝ない子に困り果てた、子守をする人の歌う歌だから、恨みがましいものが多い、と音楽の先生から習った覚えがあります。

あの引きずるような暗さや寂しさは、きっと日本の昔ながらの子守唄の持つ味わいなんでしょうね。

Kanaboonさんには、いつもどおりの貫禄で最後を飾ってくださることを期待しています。

写真は、Kanaboonさんのアルバム、『MOON SHINER』のライナーから(ジャケ絵の一部)。
絵を描いたのも彼女で、残念ながらこの中には、『Baby Won't You Please Come Home』は収録されなかったのですが、
表題ともなっている『MOON SHINER(S)』も、深みのあるいい歌です。

あと、このアルバムを発行しているClub Lunaticaは、
「にぎやかな風」で、当時liveのブッキング担当をしていた谷口"マルタ"正明さんによるもので、
彼がどんな企画もあっさり通してくれたので、わずかながらもいろんな試みができたのですが、
ルーツミュージックと同じように、どうやら人の輪もぐるぐる回っていくようです。

Kanaboon『竹田の子守唄』PV
http://www.youtube.com/watch?v=JpqnE6droA4

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Reiko.A presents 第7回JIZAIKAN「歌と、ギターと、言葉」
12月22日(日)at 蒲田Studio80

当日の詳細についてはこちら。

http://www.webdice.jp/event/detail/11428/?date=20131203

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Reiko.A/東 玲子

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