1967〜1971年の短期間に活動するも、
不毛な結果により"消えた音楽家"となった、
「ロドリゲス」の数奇な運命を辿るドキュメンタリー。
予告編では『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』と
比較されているが、本作の主人公ロドリゲスは
夢を手に入れること無く、不発のまま姿を消してしまう。
数年後、偶然南アフリカに到着したロドリゲスのアルバムは、
伝染病の如く、南アフリカ国内に広がっていく。
アパルトヘイトと音楽革命。
ロドリゲスの歌詞は反抗のシンボルとなり、
さまざまな抑制が勢いを付ける。
「ロドリゲスは、一体誰なんだ!」と南アフリカ全土で欲求が広まる。
広がる伝染病は、原因を追求したくなるものだ。
都市伝説から美化していく、妄想や死亡説。
そして、一つの情報から全てがつながる。
カチカチと、事実がハマっていく快感がここにある。
そして86分の映画の旅は、心地良く終盤へ向かっていく。
昨年の快作『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』を想像させる
「音楽の神」の存在が脳裏に浮かぶ、必見の作品である。