北欧映画の祭典『トーキョーノーザンライツフェスティバル 2011』が渋谷の映画館ユーロスペースとアップリンクにて開催。ラース・フォン・トリアーやルーカス・ムーディソンなど北欧を代表する監督たちの珠玉の15作品+短編アニメ4作品を一挙上映し、ジャパンプレミアでは、ラース・フォン・トリアーの問題作『アンチクライスト』や裕木奈江主演のホラー『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』、高レベル放射性廃棄物の地層処分場の合理性を問う『100,000年後の安全』も上映。
東京では『北欧映画祭 1997』以来14年ぶりとなる北欧映画の祭典『トーキョーノーザンライツフェスティバル 2011』を企画、主催するのはアップリンクが行っている配給サポート・ワークショップの参加メンバー。参加者の中から、ワークショップで配給や宣伝のことを学ぶうちに「実践したい!」という気持ちが高まった有志が集まり今回映画祭を開催するまでにいたった。
アップリンクの配給サポートワークショップとは、映画の買付から上映、そしてDVD化、テレビ放送、インターネット配信といった映画配給の全プロセスをアップリンクで配給する作品をケーススタディとして学ぶことができるアップリンクの主催のワークショップ。
今回、ノーザンライツフェスティバルを企画・運営するワークショップ受講生に開催のきっかけ、見所などを聞いた。
Q ノーザンライツフェスティバルを開催しようと思ったきっかけは?
アップリンクの配給サポートワークショップで浅井さんと同行したロッテルダム映画祭での体験が大きくて、ロッテルダムのような海外の映画祭には、世界中から数百本の新作映画が集い上映されますが、日本にはそのうちの数%しか入ってこない。そのことを目の当たりにして、海外の作品を日本で紹介したいという思いが強くなりました。
とはいえ個人の資金力では作品を買い付けて配給するのは、敷居が高くて逡巡していたところ、カメラジャパンのメンバーから、北ヨーロッパの作品を日本で紹介するイベントをいっしょにやらないかと声をかけてもらって、配給ワークショップを継続受講しているメンバーに声をかけてみたら、全員大賛成で、それじゃあ、どこまでできるかわからないけど、やってみようということでスタートした次第です。
笠原貞徳さん(18期~23期継続受講)
Q ノーザンライツフェスティバルのおすすめポイント、見所は?
『アンチクライスト』『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』『100,000万年後の安全』のジャパンプレミア3作品がイチオシですが、メンバー一同声をそろえてお勧めするのが、スウェーデンのルーカス・ムーディソン監督特集です。特に『リリア 4-ever』は、僕らが上映作品の候補に最初に決めた記念すべき作品で、せつない物語なのですが、ぜひ見ていただきだい一本です。
それから、今回はアイスランド音楽の「今」を紹介したくて、DVD国内未発売の『スクリーミングマスターピース』の上映と、アイスランド最大の音楽フェス『ICELAND AIRWAVES』のドキュメンタリーの特別上映も企画しています。その他にも、なかなか劇場では見ることのできないラース・フォン・トリアーの初期の作品や、北欧の女性アニメーション監督のセレクションなど、素晴らしい作品を19本(短編を含む)一挙上映しますので、ぜひ劇場で北欧映画を体験してください!!!
Q アップリンクの配給サポートワークショップに参加しようと思った理由は?
自分自身が東映撮影所で美術スタッフとしてキャリアをスタートした現場あがりの人間なものですから、当時は映画は現場が全てで、宣伝や配給を誰がやっているかなんて考えたこともなかったんです。
その後、いろんな業界をぐるっとまわって、もう一度映画に関わりたいと思い、勉強したいなあって思っていたところ、キネ旬のインフォ欄に配給ワークショップの募集を見つけて、「海外の映画祭に行く浅井隆に同行できます。」というオプションに食いついてしまいました(笑)。
Q ワークショップで印象に残っている講義は?
やっぱり、浅井さんにくっついていったロッテルダム映画祭の一週間です。初めての海外の映画祭でしたし、国内外の映画関係者とどんどん交流していく浅井さんの後ろで、世界の映画業界を体感できたことは、今でも財産になっています。実際、トーキョーノーザンライツフェスティバルを企画するきっかけでもあるロッテルダムの「カメラジャパン」のメンバーに会ったのもこの時ですし!
※カメラジャパン:2006年からオランダのロッテルダムとアムステルダムを中心に、日本の映画と文化を紹介しているジャパンフェスティバル。
Q ノーザンライツフェスティバルに参加した理由は?
一番の理由は、参加している方々がとても前向きで楽しい方々だったからです。ワークショップで教わったことをどんどん実践していこうとされていて、すごいと思います。わたし自身、映画祭スタッフの経験は少しありますが、一番最初から立ち上げる、というのを間近で目撃するのはまったく初めてですので、とてもわくわくしております。ただ、わたしが一番遅れての参加で、もっと前の期からワークショップに参加していればよかったな…ということだけが、少し残念です。
湯川暁子さん(23期受講)
Q ワークショップで印象に残っている講義は?
輸入・通関/映倫の講義です。特に浅井さんがメイプルソープ写真集裁判で勝訴を勝ち取った経緯については、その自由と反骨の精神、バイタリティに感動しました。わたしは今回のワークショップ受講が初めてでしたが、他は継続している受講生の方がとても多く、みなさん、浅井さんのざっくばらんなトークのファンなんだな~と思いました。
ゲストでは、ラテンビート映画祭ディレクターのアルベルトさんのユーモアあふれる講義が素晴らしかったです。紆余曲折がありながらもこれまで映画祭を続けてこられた、映画に対する強い情熱が伝わってきました。また、こだわりぬいたチラシのアートワークが見事で、作品選定も含め、とても鋭い審美眼を持った方だと思いました。
TOKYO NORTHERN LIGHTS FESTIVAL 2011
2011年2月12日(土)~20日(日)ユーロスペース&アップリンク
『北欧映画祭 1997』以来となる北欧映画の祭典『トーキョーノーザンライツフェスティバル』を渋谷の映画館ユーロスペースとアップリンクにて開催します。ジャパンプレミア作品と劇場未公開作品を含む北欧を代表する監督たちの珠玉の15作品+短編アニメ4作品を一挙上映します。また、リアルな北欧を楽しく学べるセミナーや、旬のアイスランド音楽シーンを紹介するトークショー、カリスマシェフによるフィンランド料理教室など、北欧文化を体験・体感できる各種イベントも開催します。
ジャパンプレミア上映作品『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』
公式ホームページ http://tnlf.jp/
公式twitter http://twitter.com/tnlfes
配給・サポートワークショップとは??
映画の買付から上映、そしてDVD化、テレビ放送、インターネット配信といった映画配給の全プロセスをアップリンクで配給する作品をケーススタディとして学ぶことができる、アップリンクの主催のサポートワークショップ。
ゲスト回の様子(『名前のない少年脚のない少女』エズミール・フィーリョ監督)
具体的な作品を題材とするので、買付の値段、契約の条件、興行成績、DVDの実売枚数、テレビ放送権の販売価格、インターネット配信権の販売価格等できるだけオープンにして、数字から見えてくる現在の日本映画業界の現状を参加者の皆さんと共に考えます。映画配給の裏側を具体的に知ることができ、映画業界就職、転職の参考にもなる講義は6ヶ月で全12回。12回の講義のうち3回をゲスト回とし、海外の監督来日時にはゲストとして講義に登壇してもらったり、現場で活躍する専門の方をお招きして、お話を伺う機会も設けます。海外の監督と話せる機会はなかなかない貴重な体験です!配給サポート・ワークショップでは開催に先立ち説明会を開催します。参加費無料・予約不要ですので、お仕事・学校帰りにぜひお立ち寄り下さい。
配給サポート・ワークショップ詳細はこちら
第24期配給サポートワークショップ説明会
日時:2011年1月12日(水)20:00~21:30<デジタル・ムービーとの合同説明会>
2011年1月19日(水)20:00~21:00<デジタル・ムービー・ワークショップのみ>
2011年1月20日(木)20:00~21:00<配給サポートワークショップのみ>
場所:渋谷アップリンク4F(東京都渋谷区宇田川町37-18トツネビル) [地図を表示]
※予約不要です
アップリンク配給・サポートワークショップ
【概要】
■開催日
2011年1月27日~2011年7月 (隔週木曜、12回以上)
■開催場所
アップリンクLAB(4F)、アップリンクFactory(1F)
■参加費
60,000円(現金)/63,000円(クレジット)
※2期目からは半額になります!
■応募締め切り
2011年1月21日(金)
■主催・連絡先
アップリンク TEL:03-6821-6821 Email:hsw@uplink.co.jp(担当:村上、村井)
電話でのご質問も受け付けております!
■その他詳細はこちら
http://www.uplink.co.jp/workshop/index.php