ざっくり書くとブラピ版『もしドラ』野球映画。もしドラ知らねえけど、これで通じるはず。またはパワプロで育った世代には余裕で理解出来るはず。貧乏球団が金にものを言わせる野球ではなく、統計学的な数値のみでチーム編成をすることに目覚めて、ブラピがGM役で指揮をとる。他のチームで一癖や一難を抱えてるけど「出塁率はいい」点にだけ注目し集め始め、負け犬同然だった選手達にチャンスが与えられ、輝き出しそうな気配に早くもやられそうになって期待が高まる。
だけど、全体的に抑えた演出という枠ではなく、単純な「ハズシ」が多い結果となった。ブラピの苦悩にはすごい尺稼いで飽きて来るくらいなのに、選手達たちが活躍しそうな「フリ」はあったのに、大したスポットが全然当てられないハズシ方をされる。それは「実話だから」という外し方ではない。実際に実話としても活躍しているし、作品内でも勝利していくのは結果として提示される。しかし試合の風景、選手の活躍はほとんど登場しない。
これがクールなのか判断がつかない。ディテールはそれぞれにいいのだけど、ここまで盛り上がりに欠けまくるのは、焦点がブラピばかりに集っているせいでバランスが非常に悪い。苦悩苦悩、回想、苦悩、八つ当たり、ちょっと試合、苦悩苦悩苦悩、娘とおしゃべり、え、試合は? と無駄に苦悩や回想が長いから、トイレ我慢してた自分は、もう何回も限界が来てて(笑)ブラピと便意が混ざってバッドトリップするほどヤバかった。
そもそも野球の概念として、あんな選手取っ替え引っ替えコマみたくやってると、結局「なに」を応援してるのか野球ファンの気持ちが判らないね。地元愛ってだけでそのチームを応援してるなら、俺はもう野球ってもの全部が空洞に見えてしかたなかった。それでGMのブラピが自分のトラウマを解消するために空洞を利用して勝つ姿はこっちからするとかなり虚無ってて、確かに切ない映画ではあります。
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