CMで煽ってる、監督とキャストが「全員アカデミー賞!」というコピー、偽りではないんだけど結構淡々と進むスタイリッシュな映画。パンデミック(感染爆発)ものと期待して行くと、パニックやドラマティックさは控えめなので驚くかも。監督がスティーヴン・ソダーバーグ(『セックスと嘘とビデオテープ』←大好き)って段階で、そういうお仕事だと予想ついたりもするっちゃするんですが。監督欄を見逃した人は「ええっ」ってなるかと(笑)
まあ全編に狂騒が続くより、静かに世界がどんどんダメになっていく感じを描かれる方がリアルで怖いかも。日本の原発関連も実際そんな感じだしさ。ジュード・ロウ演じるカリスマブロガーがレンギョウ(薬草)に効果があると実況実験して、その結果多くの人間がレンギョウを求めて暴動が起きたりもして、3.11直後、必死になってカミさんとヨード(うがい薬)を薄めて飲んでた自分としては、身につまされる。
それにしても同じ日に『マネー・ボール』(ブラピ主演の野球映画)も観たんだけど、あっちもすっげー淡々としてて。でもどちらの映画もアメリカじゃ評価高いらしくて、不思議な気分。こういう演出流行ってるのか? マット・ディモンの娘も抗体があるのに家から出れないという鬱屈、ワクチンの譲渡、ウィルスの変異、などもっと悲劇になりそうな導火線は沢山あるのに、結局火が付かないまま集束する。通常の流れではあり得る裏切り行為を裏切るというか。これも最近の『ミッション:8ミニッツ』に被る。「映画通ほど裏切られる」ってCMのあれね。あれも同じ感触だった。全体的にシンプルに回帰してるのか。ちょっと興味深い。
仕事する人が裏できちんと仕事して、誰も映画の主人公のように活躍出来ず淡々と死んでいったり生きちゃったりして、気付いたら世界が救われてるリアル。でも、リアルな面白さとドラマティックな面白さっていつも天秤にかけちゃうんだけど、せめてポイントだけでも盛った方がいい。俺はもうちょっと、人間はドラマティックだよ、って思う。
[ネタバレこぼれ話]
マット・デイモンが抗体もってるのに、そこを広げないってのは映画としても理屈としても無理があるし、群像劇としてもボヤけてしまうんだよねえ。あとネットでも話題になるけど、謎のジュード・ロウ復活は「レンギョウが効いた派」です。まーただの風邪だったってこともあるんだろうけど(笑) あと全ッ然関係ないけど、超いい禿げ方してた!セクスィー。
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