2011-02-28

供御高覧。Woman 34 - night cat http://flic.kr/p/9mco64 #followart このエントリーを含むはてなブックマーク 

日本語タイトルは、”夜猫”。
英語タイトルは、”night cat”。

以前飼っていた猫を擬人化した作品。

とても元気な雄猫だったのだが、ある事件がきっかけで、
去勢手術を受け、以来すっかりおとなしくなってしまった。
抱っこしても、物足りないくらい嫌がらなくなり、
夜になって広がった瞳孔の奥を覗き込むと、
猫を操縦する手を止めた小人が、暗がりに息を潜めているような、
縁に自然な黒いアイラインが入っていて、
恐いくらい綺麗な目だった。

それまでは最長で三日家に戻らずに、鼻にけんかの擦り傷を作ったり、
白い毛のあちこちが、草むらの緑に染まっていたり。
一度、生きた鳩の首をを横ぐわえして、唸りながら帰宅という日もあった。

その日、膝を折り背を山にして目を瞑り、長いこと座布団の上に正座していた。
ご飯時に呼びかけても、普段なら飛んでくるのが、まるで卵を温めるかのように、
もぞもぞと居住いを蠢かすのみ。

しばらくしてふと見ると、いつのまにか姿勢を変えて、ぺろぺろと身繕いを始めていた。
お尻を下に後足の片方を高く上げて、股間を念入りに舐めている。
グロテスクが定評の哺乳類の性器の中で、もっともお洒落な、お守りでも入っていそうな、
蓮葉の形をした可愛い袋の、その裏側あたりを特に。

もしその時に気付かなかったらと思うとゾッとする。

そこに一筋、遠目からでもわかる、鮮やかなピンク色の線が入っているのが見えた。
お尻の方の付け根を横に三センチほど、魚の腹を捌いたような、血のない傷口だった。

急いで動物病院に運び、手術を受け、命は留めたが、
ピーナッツが入っていた二つの袋はしぼんでしまった。

犯人は敵対する猫か、下賎の者か、
仮に人間だとしても、おつむの中身は敵対する猫と同程度で、詮索する気にすらならない。
猫と自分には造化の神が与えた白痴美と、それを味わうささやかな感情があるが、
そんな輩は猿真似と嫉妬と比較が本分で、何の恩寵もない。

彼はその後20年近く生きた。

作業工程のログはこちら
art 戸松 公二郎(@elpoeptac)/「女34」の検索結果 - Twilog
http://twilog.org/tweets.cgi?id=elpoeptac&word=%E5%A5%B334

公開告知ツイート:
女34 Woman 34 (part) - night cat 自作のデッサンをご覧下さい。 http://flic.kr/p/9mco64 http://bit.ly/dwgmcB #followart #painting

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