（写真）『NADiff A/P/A/R/T』1階にあるアートショップ店内
昨年、表参道店を閉店したアートショップ｢NADiff（ナディッフ）」の再開が待ち望まれていたなか、7月7日、恵比寿に『NADiff A/P/A/R/T（ナディッフ アパート）』が誕生した。地上4階・地下1階からなる新築建物で、2～4階には複数のギャラリー、飲食店が入居する複合型アートスペースである。
NADiffが表参道で10年あまり展開したコンセプトを継承する形で、1階は和洋書、カタログ、インディーズブック、アートグッズなどを取り扱うショップ、地下1階はギャラリースペースとして年間約10本の企画展示を展開する。
2階には、後藤繁雄氏がディレクターを務める『G/P gallery』が入っており、写真作品を中心としたコンテンポラリーアート作品の展示と販売をおこなう。日本・海外の新しい写真の動きを発信する場として、「いつ来てもユニークでインパクトの強い刺激的なギャラリーを目指しています。小さいギャラリーならではのフットワークの軽い動きにご期待ください」（深井佐知子氏/セールス・マネージャー）という。
（写真）後藤繁雄氏がディレクションする『G/P gallery』。現在、名匠・上田義彦による新作展『骨と石器：BONES and STONEWARES』を開催中。
また、同フロアには、総合エンターテインメント企業㈱アミューズが運営する現代アートギャラリー『Art Jam Comtemporary』が隣接。「若いアーティストが、ここで展示したいと思ってくれるようなギャラリーにしたい。また、アミューズの特性を活かしてメディアをうまくからませて発信していきたいです」（牧信太郎氏/ディレクター）と語るように、新しい日本の若手アーティスト作品を積極的に取り扱っている。展示のみならず、発掘・育成を目的にしたアートコンペ「アートジャム」を開催するなど、世界のアートシーンへ向けてのプロモーションもおこなっている。
（写真）現代アートに特化した『Art Jam Comtemporary』。初回企画展は『Girl’s Zone01』と題して抜水摩耶とYUKARINAの展示を開催中。
3階は、日本・アジアの若手作家のギャラリー展示のみならず、出版、イベント、国内外のアートフェアへの出展など、複合的な活動を展開するアートルーム『magical,ARTROOM』が入っている。「国内外にアーティストを紹介して行く活動を、よりオープンにおこなっていきたい」（伊藤悠氏/ギャラリー・マネージャー）と、日本のアート環境を育て、動きを誘発・支援するシステム作りを目指している。
4階は、清澄白河にあったギャラリー｢MAGIC ROOM?｣が、喫茶＆スナック『MAGIC ROOM??』として誕生。昼間はランチ、夜はバーとなり、週末にはイベントやパーティを企画していく。
（写真上）六本木から移転した『magical,ARTROOM』。第一弾の展示として、ギャラリーアーティスト11人（赤羽史亮、秋山幸、今村洋平、岩永忠すけ、大庭大介、大田黒衣美、栗山斉、ヒョンギョン、星野武彦、正木美也子、ヤマタカアイ）による『NEW BEGINNINGーThe show must go on！』展を開催中。
（写真下）ロックとエコとエ？をコンセプトにした喫茶＆スナック『MAGIC ROOM??』。内装やロゴ、プロダクトのデザインは鈴木シゲル氏。
『NADiff A/P/A/R/T』店長の城川春湖氏は、「表参道のお店の流れを引き継いだ形ですが、さまざまなギャラリーが入ることによって以前とは違った新しい場所になると思います。今後は、若手アーティストさんが作られた本なども積極的に扱っていき、何度も足を運んでいただけるようなお店を目指したいです」と、意気込みを語った。
ナディッフギャラリーの企画第一弾として、アート集団Chim↑Pom（チン↑ポム）の「日本のアートは10年おくれている」が7月26日まで開催されている。次回8月には会田誠、土佐正道（明和電機）、有馬純寿（サウンドアーティスト）らの「昭和40年会の東京案内」を予定している。
（写真）地下1階ナディッフギャラリーで開催中のChim↑Pomの展示風景。床が水没している（！）という大胆な構成
（取材・文：牧智美）
アートショップ『NADiff A/P/A/R/T（ナディッフ アパート）』
東京都渋谷区恵比寿1-18-4[地図を表示]
TEL：03-3446-4977
営業時間：12:00-20:00/無休
NADiff公式ホームページ
NADiff a/p/a/r/t（B1/1F）
G/P gallery（2F）
Art Jam Comtemporary（2F）
magical,ARTROOM（3F）
MAGICROOM??（4F）
